米国の小売大手2社はいずれも、銃の購入者に対する身元調査の強化を訴える議員らを支持する考えも明らかにした。クローガーは発表した声明文で、次のように述べている。
「法執行官(警察官など)以外のお客様には今後、他の方々の目に触れる形で店内に銃器を持ち込むことをご遠慮いただきますよう謹んでお願い申し上げます」
「私たちはまた、(銃購入者に対する)身元調査を強化し、暴力の危険をもたらす可能性がある人物による武器の入手を防止するための法整備を働きかける人々と共に、議員の方々に対し、この実現に向けた法律の制定を要請します」
ウォルマートの店舗では今年に入り、ミシシッピ州で銃撃事件、テキサス州で銃乱射事件が発生している。同社はクローガーの発表に先立ち、拳銃とその弾薬、(銃身の短い)ショートバレル・ライフルに使われる弾薬の販売を中止すると発表した。これにより、弾薬の市場における同社のシェアは、20%から9%に低下すると見込まれる。
クローガーの広報担当グループ・バイスプレジデント、ジェシカ・アデルマンは、「より多くの人たちが、現在の状況はもはや受け入れられない、銃規制を巡る具体的な、そして常識的な改革が必要だと考えていることを認識している」と述べている。
クローガーは2018年、オレゴンとアイダホ、ワシントンの各州で展開する傘下のスーパーセンター、「フレッド・マイヤー」での銃器の販売を中止した。また、それに先立ち、銃購入の最低年齢を18歳から21歳に引き上げていた。これは、フロリダ州パークランドのマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で同年2月に発生、17人が死亡した銃乱射事件を受けての決定だった。
一方、米国ではその他の企業の間でも、銃器業界に対する反発が強まっている。それを示す例として挙げられるのは、デルタ航空とユナイテッド航空が2018年、銃ロビー団体「全米ライフル協会(NRA)」の会員を対象とした割引制度を廃止したことだ。また、大手銀行バンク・オブ・アメリカは、軍用の銃器をモデルに民生用に開発した銃を販売する企業への融資を中止する方針を明らかにしている。