企業役員や投資家として長年活動してきたザッカーマンはこれまで、保険業界向けソフトウエアを開発するサピエンス・インターナショナル・コーポレーションの共同創業者、ブラジルの通信会社GVTの最高経営責任者(CEO)、マグマを含むイスラエルの有力ベンチャー投資ファンド各社の共同創業者などの肩書を持ってきた。現在はカリフォルニア州在住のエンジェル投資家として、多くのテック系スタートアップへの投資を行っている。
その投資先のひとつが、小規模テック企業のセキュビット(Secubit)だ。ザッカーマンが共同オーナーを務める同社は、銃器業界で最もホットな分野のひとつであるテクノロジー搭載武器を開発している。ザッカーマンは軍、警察、民間を含むハイテク銃の市場規模を500億ドル(約5兆4000億円)と試算している。
同社の最初の顧客層となったのは、戦争の遠隔化・機械化が進む中でハイテク兵器に対する関心が高まる軍隊だ。「武器業界のようにとても保守的な市場ですら、他の大半の業界と同様、いずれはIoTやデータ指向の製品に移行せざるを得なくなる。私たちはそれまでに、最高の製品とソリューションをもって万全な備えができる」とザッカーマンは語る。
同社は、今月開催される見本市ショットショーで、人工知能(AI)を搭載した新型弾薬カウンターシステム「WeaponLogic」を発表する予定だ。同システムの旧型は、弾薬をカウントすると同時に銃の点検時期も知らせる軍用製品として売り出されていた。AIチップが埋め込まれた新バージョンでは、より多くのデータをリアルタイムで提供できるようになる。
私がテルアビブにある本社を訪問した際に行われたデモンストレーションでは、チップを埋め込んだ銃把(グリップ)、手持ちサイズのトラッカー、ダッシュボードソフトを確認できた。ダッシュボードソフトは、武器庫から持ち出された武器の数、点検日、個別の銃器の発射数、連射速度、弾丸タイプなどの情報を管理できる。こうした情報は、銃器の点検スケジュールを立てるのに有用なだけでなく、指揮官が戦闘状況や各兵士のパフォーマンスをリアルタイムに把握するのに役立つ。