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2019.08.10

ドーナツ店から「ヴィーガン」店へ、ダンキンが代替肉を提供

ビヨンドミートのEthan Brown CEO(左)とダンキンドーナツのTony Weisman CMO(Getty Images)

植物由来の代替肉を製造・販売するビヨンド・ミート(Beyond Meat)が、「ダンキン(Dunkin’)」のイメージを、ドーナツ店から「ヴィーガン」企業へと変えつつある。

マサチューセッツ州を拠点にフランチャイズ展開するダンキン(2019年1月にダンキンドーナツから改名)は長年、品ぞろえの豊富なドーナツ店として知られてきた。コーヒーを組み合わせば、ちょうどいい朝ごはんだ。

とはいえそれは、1960年代~70年代の、ベビーブーマー世代がまだ若く、カロリーやコレステロール値をあまり気にしていなかったころの話だ。スターバックスは誕生前だし、マクドナルドもまだコーヒーに本腰を入れていなかった。

ダンキンはいまでもドーナツを販売している。しかし、同社のブランディング活動において、ドーナツの優先順位は低い。そのことは、2018年に同社幹部がロゴから「ドーナツ」の文字を外すと決めたことからも明らかだ。

Forbesがこれまで伝えてきたように、これはダンキンの戦略的な動きだ。「ドーナツ・ファースト」から「コーヒー・ファースト」、より具体的に言えばエスプレッソを前面に押し出して、自社の価値提案を「現代化」するものだった。


ロゴは「DUNKIN’」のみになった。2019年カンヌライオンズでのプレゼンテーション(Getty Images)

同社が価値提案の焦点を変えたことは、単なる言葉遊びにすぎないようにも思えるが、実際はそうではない。同社の動きは、ダンキン・ブランドの新たな狙いについて、多くを物語っている。

コーヒーを売れば客が増え、その流れでドーナツや朝食メニューがもっと売れる。しかし、マーケティングの焦点を変えることは、スターバックスやマクドナルドなど、競争相手が並みいる新しい市場環境でダンキン・ブランドが競合するのに役立った一方で、ドーナツ企業という同社のイメージを変えるうえではほぼ無意味だった。

現代社会においては、それは大問題となる。ベビーブーマー世代はもはや若者ではなく、コレステロールの摂取量に気を配るようになったからだ。

加えて、ミレニアル世代という、カロリーだけでなく、さまざまなことを気にかける人々がいる。彼らは、「持続可能な食事」などに関心を持っている。つまりエコノミストが、さまざまな「外部不経済」(市場取引に伴うマイナスの副次的効果)から地球を救うとお墨付きを与えるような物事だ。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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