この強烈な採用のキャッチコピーが話題を集めた、ZOZO研究所。2018年4月の発足から約1年。「ファッションを数値化する」というミッションの実現に向け、同研究所にはさまざまな専門分野の人材が集まってきているという。
「我々は実績も歴史もないチャレンジャー。だからこそ、もっと挑戦していかないといけない」──立ち上げからの1年を振り返り、ZOZOテクノロジーズ代表取締役CINOの金山裕樹はこう語る。
民間の研究所としてスタートした、ZOZO研究所。AI(人工知能)やVR(仮想現実)など、目まぐるしいスピードでテクノロジーが進化している時代の今後を彼らはどう捉え、どんなことに取り組もうとしているのか。金山とZOZO研究所 青山拠点ディレクターの松谷恵に話を聞いた。
研究内容をビジネスとして永続的なものに
──ZOZO研究所を立ち上げる際、どのようなことを考えていたのでしょうか?
金山:世の中には偉大な民間の研究所がたくさんあります。彼らの取り組みにリスペクトしつつも、同じことをやっていても仕方がない。実績も歴史もありませんが、チャレンジャーとして“ファッションEC”の未来を考えて、挑戦をしていく。その思いで、昨年ZOZO研究所を立ち上げました。常に“挑戦者であること”を忘れず、あらゆることに先入観を持たずに取り組んでいくことを心がけています。
研究は具体的にどんな成果が出るかすぐには分からないことが多いですが、研究を通じて知財を会社のアセットにし、事業に貢献する。ここを一番大事にしながら、日々、研究に取り組んでいます。
研究成果を研究のまま終わらせたり、学会で論文を発表したり。そうした取り組みも意義のあることですが、民間の研究所は研究で終わらせるのではなく、研究の先にある何か。例えば、研究内容をいかにビジネスとして永続的なものにするか、を考えなければなりません。
──日本は研究成果をいかに社会実装するかが大事だと、よく言われています。
金山:社会実装はすごく面白い言葉だと思うのですが、今後は端的に言えば、研究もビジネスにしていきたいです。研究成果を通じて売上をつくり、利益を出す。
その利益を再投資し、さらに新しい価値をつくっていく。社会に実装することは、ビジネスそのもの。ビジネスと研究は表裏一体だと思っていますし、私たちは民間の研究所なので、なおのこと成果をビジネスにつなげることが大事になってくる。そこはきちんと追求していかなければいけない、と思っています。
──立ち上げ直後の「天才、逸材採用」が印象的でしたが、どのような狙いがあったのでしょうか?
金山:世の中の「ZOZO」に対する見方が、給与一律、本社は幕張。研究開発のやる気はあるのか、みたいな感じだったので、優秀なエンジニア、リサーチャーを本気で採用したい、という姿勢を見せるために、あのキャンペーンを実施しました。実際、優秀なメンバーたちが入ってきてくれたので、良かったです。