セブンペイ問題 不正アクセス再発防止のカギは「マイナンバーカード」

電子上で本人確認ができるエストニアの「e-ID」


その可能性とは、NFCを活用した非接触型の認証プロセスだ。

2019年秋に公開予定のiOS13では、技術的にマイナンバーカードをNFCで認証することが可能になる。それに伴い、デジタルIDアプリとの連携が非常に容易になることが予想される。

この点、今日のエストニアでも、Mobile IDやSmart-IDの初回利用登録をするときにはPCにカードリーダーを接続して設定を行う必要があり、ユーザビリティに改善の余地がある。つまり、エストニアでさえPC、カードリーダー、スマートフォンを用意して行わなければいけないデジタル本人確認を、(Apple端末に限定されるとはいえ)日本ではスマートフォンのみで完結できる未来が近づいているのだ。

その結果、ユーザーが利用するハードルはぐっと下がり、マイナンバーカードと連携したサービスの台頭が期待ができる。この際、従来どおり総務省の許認可を取得する形で認証技術を開発することもできるだろうし、エストニアでいうSmart-IDのような民間企業のデジタルIDアプリと連携することで、より手軽な形で認証プロセスを実装することも可能だ。

その先にあるのは、不正アクセスに頭を悩ませることなく広くデジタルIDが普及した利便性の高い世の中だろう。

自前主義から脱却し、本人確認書類とデジタルで連携した認証サービスエコシステムを形成していくこと。このような「犯罪や不正が起こりにくいような環境」を整備することこそが、不正アクセスの根絶に向けた一つの鍵になる。エストニアの認証サービスを利用している一人のユーザーとして、そう思わずにはいられなかった。

日本人が知らないニッポンのみらい
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文=日下 光 構成=齋藤アレックス剛太 写真提供=Toolbox Estonia

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