障害者の死亡率は2倍。「災害弱者」の命を救う方法を、石巻で探る

みやぎセルプ協働受注センターの大久清美さん


「8年経って、震災に関する情報は豊かになっていると思ったけど、皆さん初めて知る様子で。もっと伝えていかなくちゃいけないですね」。大久さんは被災地とそれ以外の県での認知の差を感じ、災害弱者の声を届けていくことを使命のように感じている。


復興を願う灯籠

健常者に必要なのは、障害の特性を理解すること


災害弱者の避難を考えるとき、健常者側には声をかけることへの躊躇、障害者側には自身の障害を伝える術の確保という課題があるという。まず、健常者に必要なのは、障害の特性を理解することだ。宮城県在住の福祉職員、今野真理子さんは、「専門スキルがなくてもできることはたくさんある」と語る。

たとえば、視覚障害を持つ人にとって、初めての場所への移動は大きな恐怖心がある。彼らが安心して歩けるように、「ここから10歩進みます。そこで右に曲がります。あと3歩ですね」というように、頭の中でイメージできるような声掛けでサポートすることができる。

聴覚障害の人には、筆談のほか、ジェスチャーや大きな口で話し、口の動きを読んでもらうことでコミュニケーションが図れる。身近に何も書くものがない時は、相手の手のひらに一文字ずつ文字書いて必要な事柄を伝えるのもいい。こうした介助は誰にでも可能だ。

また、見た目には分かりづらい障害への理解も彼らの安心感にもつながると、今野さんは語る。知的障害の人が緊張感から跳んでみたり、体をたたく自傷行為などを起こすことがあっても、それは奇異なことではなく、本人なりの理由があること。精神障害の人の独り言も、決して他人に危害を加える訳ではないということ。健常者との違いは確かにあり、そうした見方は自然なものだが、「少しでも理解する・排除しない」という考えを普段から持つことが、いざという時に手を差し伸べる助けになるという。

一方で、障害者も自身の障害を知ってもらう術を持つことが大切だ。最近街中で見かけるヘルプカードの携帯や、災害時に自身の障害を伝えられる「災害バンダナ」の活用のほか、未曾有の事態にそれらがないときは、ガムテープに自身の障害や必要としているサポートを書いて見える所に貼るなど、少しの工夫で助けを求めることができる。
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文・写真=丸山裕理

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