国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」

テスラ モデル3

アメリカで大ブレークしているテスラ・モデル3が、5月末に日本でも受注を開始し、8月後半以降に納車という計画になったそうだ。日本には待ちに待った顧客が多そうだ。ちなみにベースグレードは後輪駆動で航続距離418km。価格は511万円から。4WD仕様は655万円台。

ますます競争が激しくなる電気自動車(EV) 市場で、テスラはこのモデル3で生き延びていけるか。今年3〜6月(第2四半期)の販売台数9万5000台強というニュースを受けて株価は7%上昇し、業界の専門家を驚かせた。

いうまでもなく、テスラのライナップで最も売れている車種はモデル3だ。同車のセールスは、シボレー・ボルトやアウディE-tronをはるかに上回っている。同じ時期に、GMのボルトは3965台、E-tronは1835台売れているが、モデル3とは比較の対象外だ。しかし、モデル3のライバルが市場に登場し始めている中で、テスラはその販売記録を保っていられるのか?

確かにモデル3は売れ、利益を出しているが、正直にいうと、EVは価格が大きな課題だ。やはり、ガソリン車やハイブリッド車よりもまだ高い。だから、3750ドル(約40万円)の補助金が引かれると、顧客はうれしいわけだ。しかし、その補助金が少なくなる、または完全になくなったりした時、EVの魅力は暴落するだろうと予想されている。

今現在は、その補助金の動向に加え、テスラが年間40万台作れるほどのバッテリー素材を獲得できるかが問題とされている。2019年に40万台を達成するためには、3カ月ごとに10万台を売らなければならないが、車種が少なくライバルも増える中で、「テスラの持続性と利益を出し続けられるかが課題」だと多くのアナリストはいう。

また、モデル3は確かに今のテスラの柱だが、それが売れることで、より利益の大きなモデルSやモデルXが売れなくなるというジレンマもある。実際、6月までの上半期でそれら2モデルのセールスは20%落ちた。

アメリカでの補助金制が2020年には廃止される予定とあり、テスラはますます海外に頼るしかなさそうだ。上海の近くにバッテリーの組み立て工場を建設しているし、イーロン・マスク社長は欧州でも工場にふさわしい場所を探している。

テスラはたった10年で素晴らしいブランドを築き上げた。EVというと、テスラを思い浮かべる程の存在感だ。正直なところ、僕自身はモデル3をあまりかっこいいと思わないが、市場は気にしないらしい。

このブランドは、最初に登場したモデルSとモデルXのスタイリッシュな外観と記録的な加速性、航続距離の長さ、近未来的な室内、縦の大型ディスプレー、そしてモデルXの画期的なガルウィングドアが顧客のハートを掴んだ。価格は高めだけどね。テスラは、顧客が欲しがるようなモデルSとXがあったから、今のモデル3があるわけだ。

アウディ、BMW、メルセデスベンツ、ジャガーなどからもEVのSUVが登場していきてはいるが、価格はモデル3の倍。モデル3と戦っていくには、やはり500万円台のEVが必要だ。日産リーフがあるとはいえ、やはり魅力とブランド力、走りの楽しさではテスラに軍配があがる。日本のカーメーカーよ、ヨダレが出るほど格好いいEVを作ってください。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
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文=ピーター・ライオン

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