シリコンバレー本拠のルーシッドは、元テスラ幹部のPeter Hochholdingerを、製造部門のバイスプレジデントに迎え入れた。Hochholdingerはテスラで2016年5月から製造部門のバイスプレジデントを務めており、イーロン・マスクがModel 3の増産に向け「製造地獄」体制を敷いた現場を知る人物だ。
彼はテスラに入社する以前は、アウディに24年間在籍した。Hochholdingerがテスラを去ることは6月26日にCNBCが報じていた。
ルーシッドのCEOとCTOを兼任するRawlinsonは声明で「プレミアム車両開発の知見を豊富に持つHochholdingerを、当社に迎えられて光栄だ。彼の協力を得てLucid Airの発売への動きを進めていく。Hochholdingerは業界トップレベルの製造プロセスの知識を持ち、当社のハイクオリティな車両の実現を後押しする」と述べた。
Rawlinson自身もかつて、テスラに勤務しModel Sセダンの開発を手がけていた。
フォルクスワーゲンやアウディ、GM、日産、ルノー、ボルボなど、世界の大手自動車メーカーが軒並みEVに注力を開始する中で、来年からこの市場に豪華EVで乗り込むルーシッドは注目の存在だ。
ルーシッドが発売を目指す豪華EV車両「Lucid Air」の販売価格は10万ドル以上で、テスラのモデルS以上のプレミアム感を売りにする。同社はサウジアラビアの政府系ファンド「パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)」から10億ドル以上の資金を調達したが、その契約が締結されたのはイーロン・マスクが「PIFの支援を受けてテスラの株式を非公開化する」と宣言した直後だった。
マスクはその後、誤った情報をツイッターで発信したとして、米証券取引等監視委員会(SEC)から罰金を科された。
ルーシッドの工場はアリゾナ州カサグランデに建設予定で、初期の段階では年間2万台の製造を目指している。
テスラからはここ最近、人材の流出が続いている。6月中旬には自動運転トラック企業の「Embark Trucks」が、テスラの自動運転部門のベテランエンジニアを引き抜いていた。