テクノロジー

2019.06.29 17:00

夜にメガネが気になるのには理由がある 生活の質を向上するメガネレンズとは

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なかでも特徴的なのが、昼間と夜間の度数をそれぞれ検査することができる特別な検査機器『i.Profiler plus(アイ プロファイラー プラス)』だ。通常の検査機器では瞳孔の中心部3mm程度を計測するのに対し、こちらは瞳孔の周辺部までを範囲とすることでより精密な眼の収差の計測を可能にしている。また、人の眼は夜間になると瞳孔が大きく開いてくるために昼間の見え方と差が生じるのだが、i.Profiler plusでは光を調節して瞳孔が大きく開いた状態での計測も行なう。この計測データを『ZEISS i.Scription(ツァイス アイスクリプション)』という独自のソフトで解析することで、昼だけでなく夜もしっかりと見える、極めて精密な度数を導き出すことが可能になったのだ。
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普通の検査と何ら変わらない。しかし計測できるレベルは格段の差がある。

この最新の検査機器であるi.Profiler plusは、日本ではまだ数台しか導入されていない貴重なものだ。今回は、カールツァイス社が同社のストア・イン・ストアとして世界初認定した、イワキメガネ渋谷店3階の「ツァイス ビジョン フロア」にて検査をお願いすることにした。

実際に計測を体験してみると、「オートレフ」と言われる一般的な機器での計測と大きな違いはない。メガネユーザーならば一度は体験したことがあるであろう、機器にアゴを乗せレンズをのぞき込むあの検査を60秒ほど行なうだけだ。その後、通常の自覚的屈折検査(検査用のレンズを装着して度数を測定する検査)を行なえば、度数の検査は終了。この流れも、通常通りだ。
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しかし、ここから導き出される度数には大きな違いがある。まずは筆者の検査結果をご覧いただきたい。



カラフルな円状の画像は、筆者の眼の収差を表したものだ。下の数値を見ると昼間と夜間では瞳孔の大きさに2mmの差が生じていることがわかる。また、球面という項目の上段が昼間の度数、下段が夜間の度数となるのだが、夜間になると度数が左右ともに約0.50上がっている。夜間に見えづらさを感じていたのは、このためだろう。

実際の度数はi.Profiler plusでの計測結果と自覚的屈折検査の結果を踏まえて導き出されるのだが、この独自ソフトの特筆すべき点は、超精密な処方データにある。通常、メガネやコンタクトの度数は、0.25刻みでの製作となる。たとえば一般的にS-2.83という度数の場合、S-2.75、もしくはS-3.00でしか製作できなかったが、i.Scription テクノロジーでは0.01単位の超精密な度数をそのままレンズの設計に反映させることが可能に。そのため、より満足度の高い見え方が実現できるというわけだ。
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文=伊藤美玲 写真=西川節子

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