伊勢丹新宿店本館の5階フロアは、そもそも「リビング」というくくりだ。豊かな生活を演出する様々な商品が広がっているが、そのフロアに、下階の宝飾売り場から時計ショップを上げ、且つ、売り場面積を今までの倍の広さにし、全く新しいイメージの空間を作り上げた。
「今までの時計売り場は、時計・宝飾売り場という雰囲気から敷居の高いイメージがありました。それをもっと気軽に足を運んでいただこう、そして時計の世界観を楽しんでいただこうということで、大改装となりました」(伊勢丹の特選営業部計画担当の峰城秀俊氏)
その言葉の通り、百貨店の売り場という限られた空間の中に「時計が生まれた中世の教会の中庭をイメージ」(峰城)した世界を作り上げた。圧倒的な数の時計の陳列を施した柱状のディスプレイが4本、荘厳で高揚感をもたらしてくれる雰囲気を持ちつつ、客の導線を確保できる合理的な作りとなっている。個々のアイテムを眺めながら歩を進められ、柱の両側には11のブランドが軒を連ねる。
柱に沿った円形の什器は伊勢丹規格に合わせてもらうため各ブランドにお願いして作ってもらったというこだわり。売り場全体で常時3000本、約70ブランドが広がる。
時計というのは男女の売り場の違いがない、数少ない商材の一つだ。今回の改装は、時計マニアや新しく新調しようという若い客、カップル、夫婦で訪れるといった幅広いシチュエーションに合う空間になった。とはいえ、楽しく見て回るだけの空間ではなく、印象的な柱や各所に施されるクリスタル調の装飾によって「気品」を備える演出が、伊勢丹のブランド作りのにくいところだ。
リフレッシュオープンした6月19日より、2012年から催している「ウォッチコレクターズウィーク」も始まった。他の時計ウィークとは違い、時計好きから支持される伊勢丹のそれは、今回のリフレッシュオープンで充実した品揃えも相まって、最高の滑り出しが期待されている。
「今回のリフレッシュオープンでは、有名海外ブランドのうち4つのブランドが直営店として展開されています。これは銀座の路面店などと同じ品揃えということで、百貨店としては大変珍しいことです。その意味でもこの売り場は最高の品揃えということができます」(峰城)