世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

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メンズ美容の市場が着実に拡大している。富士経済のデータによると、同市場の規模はこの10年で約2倍に伸び、2018年に約1175億円となった。

2019年は新時代への転換期

かつて男性のフェイスケアといえば、シェイビングローション、ニキビケア、冬になればリップクリームぐらいだったのではないだろうか。乾燥する季節でも「洗顔後になにもつけない」という人、灼熱の夏でも「日焼け止めなんて塗らない」という人は今でも多いように思う。

それが近年、「肌も身だしなみのうち」という考えが広まり、化粧水や保湿クリームなどの基礎ケアが普及。メンズ向けを取り扱うブランド、またはメンズ向けのブランドが増え、シワ・シミ・たるみなどの肌悩みに応じる化粧品も多く販売されるようになった。

さらにこの数年では、男性の“メイクアップ”も世界的に徐々に広まりつつある。女性向けのアイテムを男性が使う、というのはこれまでもあったかもしれないが、「男性向け」に商品を展開するブランドも増えており、2018年11月にはシャネルもメンズ向けメークアップ ライン「ボーイ ドゥ シャネル」を発売した。

日本では、タレントのりゅうちぇるや、原宿系のカリスマ読者モデルのこんどうようぢなど、発信力のある彼らが自身のソーシャルメディア上でメイクアップ法やおすすめのアイテムを紹介。それらが注目を集めていく中で、メイクはすでに女性だけのものではないという認識が広まりつつある。

りゅうちぇるは実際に化粧品を使用して動画を公開するだけでなく、子どもの頃から自分のアイデンティティに悩んできたことを告白し、「男らしさ、女らしさに縛られないで」とジェンダーに関する自らの考えも発信。男女問わず多くの人の共感を呼んでいるところを見ると、「ジェンダーレス」の流れも市場を牽引していると言える。

メイクも「ビジネススキル」のひとつに?

今後メンズのメイクはどのように広がり、ビジネスマンに浸透していくのだろうか。

ポーラ・オルビス傘下の「アクロ」は2018年9月、業界初となるメイク中心のメンズ総合ブランド「ファイブイズム バイ スリー(FIVEISM × THREE)」をローンチ。ファンデーションからアイシャドウ、リップ、さらにはネイルまで豊富な種類を揃える。


出典:ファイブイズム バイ スリー(FIVEISM × THREE)

ブランドマネージャーの森田由美氏は、男性のメイクアップは身だしなみのひとつとしてビジネスシーンにおいて重要だと語る。

「WEB会議などでモニターを使用したコミュニケーションが今後さらに浸透することで、より自身の見せ方が重視されるのではないでしょうか。誰もが簡単に発信者になり、自分を魅力的かつ場面に応じた見せ方を追求することは、もはや当たり前です。これからさらにセルフプロデュース力が試される時代になるという点で、メンズコスメはますます重要視されるでしょう」

理想の姿に近づくために、メイクアップする。それで満足感を得たり、自信を持つ。これは男女問わず許された自由だ。ビジネスにおけるメンズコスメは、多様性を認め合う時代を象徴するひとつのツールであり、今後、「メイクアップも仕事のスキルのひとつ」という認識も広まるかもしれない。

文=裵麗善(ぺ・リョソン)

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