こうした状況を、創業者の故スティーブ・ジョブズは早い段階で予測。「大きな成功をもたらしたイノベーションから遠ざかれば」、ゼロックスやIBMの足跡をたどることになると述べていた。
実際のところ、アップルはその根本的な部分で、主力商品のスマートフォンが売れないということ以上に大きな問題を抱えている。問題の中心にあるのは、もはやどの商品カテゴリーにおいても革新的ではないという一つのシンプルな事実だ。
彼らはスマートフォンでもアプリでも、スマートデバイスや直営店でも、新しいものを提供することに失敗している。彼らがこの問題を解決するまで、私たちはこの会社が坂を下っていく様子を目の当たりにしていくことになるだろう。
アップルの衰勢が明らかになり始めているのは、次の各分野だ。
1. 折り畳みスマホ
アップルはハードウェアを含むいくつかのカテゴリーで、ライバルにひどく後れを取っている。サムスンやファーウェイは今年に入り、折りたたみスマホを発表。アップルもコンセプトイメージを公開したが、共同創業者の一人であるスティーブ・ウォズニアックは、アップルがこの製品でリーダーになれなかったことへの懸念を表明している。
金融大手ゴールドマン・サックスも、ウォズニアックと同じ考えだ。サムスンの折りたたみスマホ「Galaxy Fold」は、「大きな脅威になり得る」との見方だ。
2. スマートテクノロジー
消費者の間で音声認識テクノロジーの利用が拡大している中で、アップルの「Siri」はいまだに、グーグルやアマゾンの音声アシスタントに追いつくことができずにいる。
米市場調査会社コンシューマー・インテリジェンス・リサーチ・パートナーズの共同創業者は、アップルのスマートスピーカー「HomePod」の市場シェアがごくわずかであることを指摘。「アップルは後れを取る危険にはさらされていない。すでに相当に後れている」と述べている。
3. 直営店
アップルの直営店担当上級副社長だったアンジェラ・アーレンツは、理由を明らかにすることなく退任した。解雇されたのではないかとはっきり言う人はいないものの、業界関係者には、「変化が必要だった」として、その可能性があったことを示唆する人たちもいる。
アーレンツは自身の上げた成果を強調したが、来店客数や売上高が減少していたことを考えれば、十分な成果ではなかったのだろう。ティム・クック最高経営責任者(CEO)は今後、店舗の閉鎖や人員削減など、コストカットに乗り出すかもしれない。