iPhoneが次世代モデルで「液晶」を全廃へ、日本メーカーに打撃

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アップルのティム・クックCEOが年頭の投資家向け書簡で売上見通しを大幅に引き下げて以降、同社の今後に対する様々な懸念が浮上している。そんな中、iPhoneの次世代モデルに関するさらに気になるニュースが浮上した。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が1月22日、報じたところによるとアップルは2020年に発売する新型iPhoneで液晶(LCD)ディスプレイの採用を打ち切り、より柔軟なデザインが可能となるOLEDディスプレイのみを採用するという。

昨年発売された新端末のうち、液晶ディスプレイを採用したのはiPhone XRのみだった。XSやXS Maxに続きリリースされたXRは、新シリーズの中で最も手頃な価格で発売され、最大の売れ筋となると期待された。しかし、10月下旬時点で既に販売不振説が浮上し、当初の想定を大きく下回る結果となった。

WSJによるとXRの売上不振は、この端末の液晶ディスプレイの製造元であるジャパンディスプレイ(JDI)の業績に大きなダメージを与え、同社は現在、台湾と中国の投資家グループからの出資受け入れを模索しているという。JDIは日本の産業革新機構の主導で、ソニー・東芝・日立のディスプレイ部門が統合されて誕生した巨大企業だ。

アップルは今年発売する新端末の全てを、OLED仕様にしたい意向だが、WSJによると製造工程の準備が間に合わず、全端末がOLED対応になるのは2020年のモデルからだという。XRはiPhoneの新シリーズの売上を牽引する端末と期待されただけに、失望は大きい。

アップルは今年発売する新端末で、なんとか売上の回復を狙いたいはずだ。iPhone XIと呼ばれる2019年の新端末は、背面にトリプルカメラを搭載し、指紋センサーとFaceIDのデュアル認証となることが期待されている。しかし、この端末は5G通信に対応しない点が、競合との戦いにおいて不利になるともみられている。

そんな中、筆者が賢い消費者にお薦めしたいのが、XRのさらなる値下げを待つことだ。XRの液晶は、スペックではOLEDには劣るものの、テック系ユーチューバーのJonathan Morrisonが行った公開実験においても、競合機種を大きく上回る画質を誇ることが明らかになっている。さらにいうと、XRは上位機種のXSやXS Maxのコア機能を低価格で実現し、デザイン面でも優れ、バッテリー持続時間も長い。

アップルは中国においてXRの値引き販売を開始したことが、既に確認されている。この動きは他の諸国でも始まるかもしれない。

編集=上田裕資

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