女性はスーザンにより多くの財産を分与する傾向にあり、スーザンの権利を定めるにあたり、夫婦の教育レベルや職業による違いはほとんどなかった。反対に、男性が決める分与額には差が発生し、スーザンの学歴が高いほど多くの財産分与を認める傾向にあった。
財産分与額決定の理由については、大半がジョンの金銭的な貢献を重要な要素として挙げた。その上で、男性は女性よりも稼ぎ手としての収入に対する権利の重要性をより高く評価し、女性は男性よりも家事育児の価値を重要な要素と考える人が多かった(一方で、男女ともに多くの人が家事育児の重要性を認識しているという良い結果も出た)。
この研究結果は、キャリアを手放して専業主婦になった女性が離婚に際し、結婚生活中にたまった財産の半分を受け取れない可能性が高いことを示している。また別の研究では、こうした女性は長期の離婚手当を得られない可能性も高いことが示されている。
拙書『Marriage Markets(結婚市場)』の共著者、ミネソタ大学ロースクールのジューン・カーボン教授(法学)によれば、今回の研究結果はまた、私たちが現代の結婚制度をどうとらえているかという難しい問題も示している。カーボンは、家事育児の価値を算出する代わりに可能な選択肢として、貢献度や過失の所在にかかわらず、結婚を平等な共有の約束として扱うこともできると提案する(ただカーボン自身はこのアプローチを必ずしも好んではいない)。
結婚生活の終了にあたり、一家の柱として生活費を稼ぐことと、家事育児を担うこととをどう比較し評価するかについては、社会全体としての答えはまだ出ていない。
もちろん、これはマッケンジー・ベゾスにとっては関係のない話だ。離婚調停での合意に基づき、マッケンジーは世界で3番目に裕福な女性となる予定だ。