バフェットは先ごろ、自らが率いる米複合企業バークシャー・ハサウェイの株主総会で、自身の投資に関する失敗と成功の双方について、率直に語った。失敗の一例は、米食品大手クラフト・ハインツへの投資だ。
バークシャーの最近の報告書によると、同社はクラフト・ハインツ株の4分の1以上を保有している。
だが、残念なことに、同社の株価はこのところ、昨年の最高値と比べておよそ2分の1、約2年前と比べれば3分の1程度に下落している。明らかに、バフェットの偉大さを示す一例とは言えない。
過去の成功の“犠牲者”
バフェットの考えでは、クラフト・ハインツへの投資に関する問題の原因は、単純なものだ。「投資し過ぎた」のだ。どのようなビジネスでも、投資の規模が大きくなりすぎれば、悪い結果の影響も大きくなる。
クラフト・ハインツがこれまで、逆風にさらされてきたことは確かだ。米アマゾン・ドット・コムは、「ベーシック」をはじめ複数のカテゴリーを横断して商品を提供する強力な自社ブランドを展開。
また、プライベートブランド「カークランド」を持つ会員制の大型スーパー、米コストコの売上高は約390億ドル(約4兆3000億円)で、クラフトの約260億ドルを上回っている。
さらに、クラフト・ハインツが現在のような規模で製品を販売できるようになるまでに(ハインツ創業から)150年近くを要したことを考えれば、アマゾンとコストコが手掛けるブランドの成長ぶりには、特に目を見張るものがある。
バークシャーはある意味で、自らの成功の犠牲者だ。投資家らは同社のプレーブックに注目するようになり、その戦略をまねようとした。結果として、それがクラフト・ハインツの株価を引き上げてきた。
バークシャーがより長期間にわたって投資してきたコカ・コーラやシーズ・キャンディーズといったその他の企業もまた、バフェットが消費者ブランドへの投資において収めてきた成功を示す例となっている。
ベンチャーキャピタリストらを含むその他の投資家たちは、バフェットのアプローチの価値を認識し、それをまねようとしてきた。それによって引き起こされた競争がバークシャーから、魅力的な価格で取引されている株をえり好みして買う自由を奪ったのだ。