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旅から学ぶインバウンドの最前線

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2020年、訪日外国人旅行者を4000万人に──。

16年3月に策定された『明日の日本を支える観光ビジョン』で、日本政府はこう目標を掲げた。以後、訪日旅行者のための環境整備に向け、各方面で対応を進めている。

筆者がその一躍を担っていると思うのが、2017年8月から駐ブラジル特命全権大使を務めている山田彰氏だ。山田大使は、06年に在スペイン日本大使館公使に就任したのを機に、スペイン語で日本のマンガなどのポップカルチャーをテーマにした講演を開始。現地の言葉で日本の魅力を発信する姿は、現地の愛好家たちから歓迎され、親しみを込めて「オタク大使」とも呼ばれている。

昨年には、ポルトガル語で「日本のマンガ~過去、現在、未来」をテーマに講演。質疑応答までポルトガル語で行うなど、大使自身にとっても前例がないことに次々と挑戦し、日本と海外の架け橋になってきた。

そんな山田大使はいま、どのような想いで、インバウンドの現状を見つめているのだろうか。話を伺った。
  
外交とは「日本の友達」を増やすことである

青木 優(以下、青木):山田大使からは、日本が推し進めるインバウンドの現状はどのように見えていますか?

山田 彰(以下、山田):政府は20年に4000万人訪日を掲げています。日本政府の外交官である私に期待されていることは、外交を通じてその目標に貢献すること。これは一つの前提です。

青木:外交を通じてというのは、具体的にどういうやり方があるのでしょうか?

山田:外交とは、易しく言えば「日本の友達を増やすこと」だと考えています。友達になれば、私たちが困った時にきっと助けてくれるだろうし、買い物をするときには「日本のものを買おうかな」と思ってくれると思うんです。当たり前のことですが、国は一人ひとりの国民によってつくられています。まずは、一人でも多くの人に「日本はいい国だな」と思ってもらえるような関係を作ることが大切だと思います。

青木:山田大使は在スペイン日本大使館の公使に就任した際に、現地の方々に向けて日本のポップカルチャーを発信するようになり、「オタク外交官」「オタク大使」と呼ばれるようになりました。文化外交によって、「日本の友達」を増やしてこられた。日本のポップカルチャーが、外国の人に受け入れられていることに気づいたのはいつ頃ですか?

山田:1990年代前半から半ばにかけて在アメリカ合衆国日本国大使館に赴任していた頃です。日本人の方々がガレージセールをしたところ、日本のマンガ雑誌がけっこう売れていて、「日本語で描かれているのにわかるのかな?」と不思議に思ったのがきっかけで。


tipwam / Shutterstock.com

その後、06年にスペインに行くことが決まったのを機に、スペイン語でマンガに関する講演をやろうと決めました。私は人よりも多くのマンガを読んできたわけではないけれど、マンガ評論に関する本はたくさん読んでいたので、それらをスペインにも持参して、参考にしつつ、原稿を作り、講演を始めたんです。

そこで気付いたのは、優れたものであれば、あるいは年月を経て皆から認められているものであれば、「そのよさが日本人にしかわらかない」ことはないということです。

構成=梶山ひろみ(MATCHA)

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