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世界では今、旅行ブームが起きている。国際航空運送協会(IATA)は、2036年には78億人が空の旅をするようになると予想。2017年の40億人からほぼ倍増する形だ。

旅行客が増加している理由には、世界規模での貿易の増加や、格安航空券の登場、航空機の輸送容量増加、ネット予約、観光地の多くによる積極的な宣伝活動などがある。また宿泊施設も非常に豊富で、地元の宿、ヒルトンやマリオットなどの大手ホテルブランド、エアビーアンドビーなどが利用できる。もちろん、収入の増加も寄与している。

しかし、旅行客の数が世界で増加している理由は他にもある。それは現在どこでも見ることができるキャスター付きスーツケースだ。このシンプルな発明品は世界を変えた。ロンドンやマドリード、東京、ニューヨークなどの通りを歩けば、スーツケースのカタカタという音が聞こえる。世界の旅行用かばん市場の規模は2017年には194億ドル(約2兆1600億円)だったが、2022年までには231億ドル(約2兆5800億円)に増加すると見込まれている。

この何の変哲もないキャスター付きスーツケースが、無数の旅行者に力を与えた。キャスター付きスーツケースの登場により、ホテルのベルボーイやポーターが数千人消え去り、短い距離にタクシーを使う必要がなくなり、旅客機ではより安価で素早く荷物を運べる機内持ち込み荷物が人気となって荷物室の空きスペースが増えた。

街中では、スロープや歩道の切り下げ、エスカレーターやエレベーターなどにより、街のすべてとはいかずとも大部分をキャスター付きスーツケースで難なく移動できるようになった。

では、キャスター付きスーツケースは一体どのようにして生まれたのだろう?

キャスター付きスーツケースの生みの親は、2011年に亡くなったバーナード・セードーだとされている。セードーは1970年、家族とプエルトリコに旅行した際、2つの重い旅行かばんを引きずっていった。サンフアン空港で、ポーターが車輪付きの旅行かばんラックを使い荷物を楽々と運んでいるところを見たセードーは帰宅後、スーツケースに車輪を取り付ける改造作業に没頭した。

セードーはその後、自身の発明を販売してくれる店舗を探したが、数カ月たっても見つからなかった。そしてついに、百貨店大手メイシーズのある役員が、車輪の付いたスーツケースに賭けることを決めた。セードーは1972年、米国で「Rolling Luggage(転がる旅行かばん)」の特許を取得した。

編集=遠藤宗生

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