フォーブス ジャパン ウェブ編集部編集長

「マーケッターズ・ハイ 2019」優勝チームの4人

読者のみなさまにもご一考いただきたい。

以下のブランド・製品について、大学生の新規ユーザーを獲得するためのマーケティングプランを作成せよ。

・PANTENE ミセラーシリーズ(シャンプー・トリートメント)
・レノア オードリュクス(液体柔軟剤)
・h&S PRO SERIES(シャンプー・コンディショナー)
・Gillette プログライド(男性用髭剃り)

ヘアケア製品や柔軟剤、髭剃りなど生活用品を、いかにして大学生に使ってもらうか。プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&Gジャパン)が大学生・院生向けに日本で初めて開催したマーケティングコンテスト「マーケッターズ・ハイ 2019」の課題である。

1990年代後半~2000年生まれの「Z世代」にあたる大学生は、一体どのようにモノを選ぶのだろうか。

大学デビューを応援?
初めての一人暮らしに寄り添う?
大学生の恋をサポート?
就活生の身だしなみとして必要?

あなたならどんなプランを立てるか─。ぜひ考えながら、読み進めていただきたい。

優勝チームの企画に300万円の実施予算

P&Gジャパンはこれまで、大学3、4年生向けに採用活動の一環としてインターンシップを行ってきたが、今回は採用直結型のインターンとは異なる、大学1年〜院生までを対象にした人材育成を目的としたプログラムだ。米国本社などでは過去に開催してきたが、日本では初めての試みである。

特筆すべきは、P&Gジャパンがこのプログラムの優勝チームの企画に300万円もの予算をつけて実行まで移す、という点だ。学生を対象にしたビジネスコンテストが多いが、企業が学生のアイデアに対し、ここまでの「本気」を表明するケースは珍しい。

モノやブランドへのこだわりが比較的薄いとも言われる若者世代に対し、同世代の学生たちはどのような施策を打ち出すのか。P&Gジャパンが大学生ならではの視点やアイデアに強い期待を持っている証拠でもある。

「モノで仕送り」アイデアで優勝

優勝したのは筑波大4年の由衛彰敬(ゆえ・あきよし)、早稲田大4年の竹内翔海(たけうち・しょうみ)、慶応大3年の依田涼(よだ・りょう)、筑波大4年の草山亮(くさやま・りょう)の4人チームだ。P&Gジャパンの社員を交え、プランを実行に移そうと協働している。

彼らが選んだのはPANTENE ミセラーシリーズ(シャンプー・トリートメント)。提案したアイデアは、新生活を送る大学生の子供への、親からの「仕送り」を活用するというものだ。最終的に製品を使うのは大学生だが、購入するのは親、と想定した。

ECを活用し、金銭ではなく、普段必ず使う消費財を仕送りという形で贈るよう促す、という点が審査員を唸らせた。P&G製品の浸透をはかるため、大学生に「まず使ってもらう」ことを最優先に考えた結果、新生活や新学期の始まるタイミングで、親向けにモノでの仕送りを訴えることを思いついたのだ。



親の立場からすると、使い道が不明である金銭での仕送りより、実際に日常的に使うモノを選んで贈ることにより、離れて暮らす子供の大学生活を支援している実感を得ることができる。子供の立場からすれば、決して少なくない日用品への出費を浮かすことができる。仕送りされた製品を気に入れば、継続的なユーザーになる可能性もある。

「早いうちにビジネスに触れる機会を」松浦執行役員

本施策を主導したP&Gジャパンの執行役員・松浦香織氏に企画意図を聞いた。

「今回の目的は2点あります。一つは将来的にグローバルに活躍できるような学生を育成したいという思いで、大学1年生から参加できるようにしました。学生が早いうちにビジネスに触れる機会を提供することによって、『マーケティングって面白いな』と感じてほしい。そして目的意識を持って学生生活を送ってほしいという思いがありました。

もう一つは、我々が思いつかないような学生のフレッシュなアイデアを引き出すこと、そして実際に実行することで、頭で思い描いていたプランを実行に移すことの難しさや、予算の厳しさ、具体的に人を巻き込んでいくプロセスなどを学んでほしかったためです」

自身も大学1、2年次を米国の大学で過ごしたという松浦氏の経験から、早いうちに強い目的意識を持って学生生活を送ることの重要性を学生に伝えたかったのだという。実際のところ、手応えはどうだったのか─。

「応募者の6割が1、2年生で、早い段階から関心を持ってくれたことが嬉しかったです。また想定以上に学生さんの資質が高くて驚きました。我々の想定としては、出てくるアイデアはフレッシュでも、最終的には費用対効果という部分で少し想定が甘いのではないかと思っていました。しかし蓋を開けてみたら、皆緻密にシミュレーションを組んでいて、実現可能性を高めていました。プレゼン力も非常に上手で、論理的かつパワフルなプレゼンでした」

文・写真=林亜季

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