Close RECOMMEND

AI通信「こんなとこにも人工知能」

gettyimages

2月中旬、立教大学がきたる2020年4月に、人工知能専門の大学院修士課程「人工知能科学研究科」を開設すると発表した。

日本においても、AI教育が本格的に拡大していくきっかけとなるとして大きな話題となったが、産業競争力という視点からは、そのスピードをさらに早めていく必要があるかもしれない。米中を中心に、AI産業を巡る覇権争いはさらに加速する気配だ。

中国・教育部は2月下旬、中国内の各大学において、2019年内に約400のAI・ビッグデータ関連学科および専攻が新設する計画だとした。ここ数年、人工知能関連の教育を拡充してきた中国だが、さらに力を入れ、“異次元のスピード”で人材を育成していく構えだ。

2018年にAI関連専攻の新設を申請した大学は220校。今年の新設規模は、昨年の2倍近い数字となる。現地報道によれば、新たに開設される各学科・専攻では、アプリケーションエンジニアリング、情報・通信、制御工学など、人工知能に関連する専門教育プログラムがカリキュラムに組み込まれる予定だという。

中国のAI分野への投資規模は米国すら圧倒し始めている。例えば、米国でAI研究に多額の資金を投じている機関としては、国防総省傘下の国防高等研究計画局(DARPA)があるが、一部海外メディアは、その資金が過去5年間では約20億ドル、年間ベースでは約4億ドル規模と報じている。

一方、中国は上海市だけでもAI分野への投資規模が年間約15億ドルだ。米国を代表する研究機関であるDARPAの投資額が、もはや中国の地方政府の4分の1にしか満たないという状況がそこにある。

投資額にとどまらず、実際にAIによって生み出される価値においても、中国が米国を上回るという予測がある。コンサルティング会社のプライスウォーターハウスクーパースは報告書で、今後10年間で中国のAI技術が7兆ドルの価値を生む一方、米国を含む北米地域のそれは3兆7000億ドルにとどまると予想している。

米国ではトランプ大統領が「米国AIイニシアチブ」に署名したが、中国の台頭を本格的に牽制する合図であることは間違いない。米中というふたつのAI大国を相手に、日本企業や社会はどのような方向性で臨むべきか。明確な差別化や戦略が必要な時期が迫っているのかもしれない。

連載:AI通信「こんなとこにも人工知能」
過去記事はこちら>>

文=河 鐘基

PICK UP

あなたにおすすめ

合わせて読みたい