同社のターボクリーン(Turbo Clean)というシステムは、人工知能とロボティクス技術を融合させたもので、回収されたトレイ上の汚れた食器を分類・洗浄するまでのプロセスを自動化する。ディープラーニング技術で、回収したトレイ上の食器を認識。残飯や生ゴミを処理しつつ、スプーンやフォーク、カップなどの各食器を区別して指定された食器洗浄機に投入する。
ターボクリーンは食器やゴミを識別するため、食事後の食器の組み合わせ数千パターンを写真で学習したという。現在では、6秒にトレイひとつ分を整理できるまでに能力が向上した。各物体を認識する時間は、約1000分の1秒単位だ。
興味深いのは、ボウル、お皿、コップなど食器を正確に認識するだけにとどまらず、学習していない新しい食器や置き方の組み合わせも問題なく識別するという点だ。このソリューションの源泉となる技術は今後、物流現場でのピッキングなど他分野にも応用できるものと期待されている。
なお、ケンブリッジコンサルタントの調査によれば、食器洗浄は各業者の自動化ニーズが高いだけでなく、大型店舗においては自動化が実現した際に商業的メリットが非常に高いという。たしかに食器洗浄という雑務を自動化できれば、スタッフの労力を接客など人間特有の作業に割り振ることができる。
日本において、食器洗浄の自動化という文脈では、人間と一緒に働けるタイプの安全な産業用ロボットである「協働ロボット」の導入が報じられるようになった。比較してみるに、協働ロボットは比較的狭いスペースに導入ができそうであり、一方、ターボクリーンのようなロボット×AIソリューションは大型施設もしくは、大型レストランなどと相性が良さそうである。
いずれ、皿洗いのアルバイトなども過去のものとなっていくのだろうか……。飲食業を取り巻く技術革新の波は、さらにスピードを速めていく気配だ。
連載:AI通信「こんなとこにも人工知能」
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