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2019.03.13

2019年は「宇宙資源開発元年」 300兆円市場に出遅れる日本

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宇宙立国はアメリカとルクセンブルグ

目前に迫るビジネスチャンスをいち早く捉えようとしているのが、アメリカとルクセンブルグ。欧州ベネルクスの小国ルクセンブルグが宇宙ビジネスというと意外かもしれないが、資源の乏しい同国は宇宙ビジネスを産業の柱の一つとするため宇宙立国を宣言した。

すでに述べたように、世界には曖昧な「宇宙条約」しかない中で、この2カ国は、宇宙開発に関する国内法を先に勝手に決めた。例えば、宇宙で開発したモノには採掘者の所有権を認めるなど、グレーゾーンについて法的ルールを明確にした。これにより、世界の宇宙開発ベンチャーの誘致に次々と成功している。

一方で、日本では、政府関係者、国会議員、企業の間で、2019年が“宇宙開発元年”となることはほぼ認識されていない。ハーグの国際組織にも、日本政府はあまり関心を示しておらず、かろうじてJAXAが2021年に月探査ローバーを飛ばすことを目標にしている程度。

また、日本には、月資源開発で世界をリードする企業の1社、「ispace」があり、政府系金融機関からの資金調達にも成功しているが、2018年11月、NASAが2019年から開始する「商業月面輸送サービス(CLPS)」プログラムに採択され、NASAとの歩みを強めている。

私は昨秋ルクセンブルクで開催された国際会議の場で、数年後には毎週のようにロケットが打ち上がり、2020年代後半には本格的な月資源開発が始まるというプレゼンテーションをいくつも耳にした。そして2040年には、月面での定住が始まり、年間に1万人が月旅行を楽しんでいるという未来も描かれてきている。残念ながら現在、日本政府や日本企業の影は極めて薄い。

連載 : 21世紀サステナビリティ経営の極意
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文=夫馬賢治

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