抗議の声をあげた従業員らはブルームバーグに寄稿した書簡で「マイクロソフトは私たちが生み出したテクノロジーを米軍に提供しようとしている。これは私たちが政府による殺戮に手を貸すことになり、許しがたい事だ」と述べた。
「私たちは兵器を作ることに同意しておらず、この件で会社に説明を求めたい」と、匿名の従業員らは記述した。2月22日午後の時点で、この公開書簡には50名の社員が署名を行っている。
書簡の宛名はマイクロソフトCEOのサティア・ナデラと、法務主任のBrad Smithとされていた。従業員らはマイクロソフトに対し、製品の提供先としてふさわしい顧客を定めるポリシーの制定も求めている。また、会社から独立した倫理委員会の設置も要求している。
マイクロソフトは昨年11月に米陸軍と契約を交わしていた。政府の文章には、このデバイスの軍への導入により、軍の探知能力を高め迅速な決定を促し、致死能力を高めると記載されている。陸軍はデバイスに暗視カメラや熱探知センサーを組み込みたい意向だ。
また、軍は10万台に及ぶヘッドセットを購入する意向だという。
テクノロジーの軍事利用で批判を浴びるのはマイクロソフトのみではない。グーグルやアマゾンでも同様の事態は起きていた。グーグルの場合は、社員の反対運動の結果、国防総省と締結した2億5000万ドルの契約を撤回していた。
マイクロソフトでは別の問題でも抗議運動が発生していた。同社は米国移民・税関捜査局(ICE)にAIテクノロジーを提供しており、数百名の社員が抗議声明に署名した。
サティア・ナデラCEOはこの件に関し、「ICEはマイクロソフトの技術を、移民の家族たちを引き離すためには使用していない」と述べていた。
ナデラCEOは2月25日、バルセロナで開催されたモバイル・ワールド・コングレスの会場でCNNの取材に応え、次のように述べた。
「当社は、私たち自身が民主的に選んだ政府の諸機関が、我々が享受する自由を守るための行為に、テクノロジーを提供することを拒否しないという意思決定を行った。私たちはこの意思決定に関し、非常に高い透明性を持っており、社員との対話を続けてく」