キャリア・教育

2019.02.25 11:40

2010年代、成功した経営者たちは何を考えてきたのか|Vol.1


「問い」こそが人材を育てる。
─メグ・ホイットマン 前ヒューレット・パッカードCEO


David A.Grogan / by Getty images

マーク・アンドリーセンをして「HP史上最高のCEO」と評さしめたメグ。大胆で親しみやすく、粘り強い。果敢に決断を下すが、独断に陥ることはない。チームづくりに長け、他人を説得する力があるが、口先だけの人物ではない。

経営再建の戦略も明快だ。小さな問題点をひとつひとつ正すことこそが必要だとし、幻想かもしれない起死回生の打開策に経営資源を傾けることをよしとしない。自身が掲げた「顧客に確たる安心感を提供する」を実現するため、2013年に彼女がこなした社外ミーティングは350回を超える。

彼女のオフィスは地味な色の小部屋。過去のCEOが使っていた部屋は、会議室に改装された。保有する個人資産は19億ドルにのぼるが、出張の際は1泊139ドルのコートヤード・マリオットに宿泊することも珍しくない。

彼女の経営にはもうひとつ象徴的な手法がある。メグは他人に行動を指示しない。その代わり、進むべき道が明確になるまで問いかけを続ける。これは、ベイン・アンド・カンパニーにいたころから一貫したスタイルだ。

外へ出よ。人は行き交うことで学ぶ。
─ジャック・ドーシー ツイッター スクエア創業者


David Becker / by Getty images

ジャック・ドーシーのキャリアは一見、混沌としている。救急車やパトカーを緊急手配するためのソフトウェアを書き、大学を2度中退し、植物画を描き、マッサージ師の資格を取り、ファッションデザインにも手を出した。ツイッターとスクエアというスタートアップを続けざまに創業し、最近では政治にも興味を示す。

だが、回り道に意味はある。精神的・肉体的な放浪癖は集中とひらめきを生む。「思考に最適なのは、歩いているときだ」。毎朝5〜8kmを走り、新入社員をサンフランシスコの街中に連れ出すのを好む。

「社員には、外に出よ、歩き回れと伝えている。セレンディピティ(思いがけないものを発見する能力)を信じている。人は行き交うことで学び、教え合う」。

ドーシーは一般的なシリコンバレーのCEOのイメージとはかなり異なる。自社のビジョンやプロダクトの素晴らしさをピッチさながらに語ることもなければ、経営哲学について饒舌になるわけでもない。

「とにかくカタチにすること。価値をことさらに語る必要はない。すべてはプロダクトそのものが語る」。


イラストレーション=アレクサンダー・サヴィッチ

この記事は 「Forbes JAPAN プリンシプル・カンパニー」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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