2010年代、成功した経営者たちは何を考えてきたのか|Vol.1

左からステファン・シュワルツマン、ジャック・ドーシー、メグ・ホイットマン

混沌の2010年代を乗りこなした経営者たちは、何を考え、どう行動してきたのか。当時の「Forbes」の記事から、彼らのプリンシプルを読み解く。


なによりも、損をするな。
─ステファン・シュワルツマン ブラックストーン・グループ創業者


Gary Gershoff / by Getty images

同社は約3440億ドルの運用資産をもつ世界最大のPE投資会社。シュワルツマンによる1985年の創業以来、PE事業で損失を計上したファンドはなく、ヘッジファンドやクレジットファンドなど、手がけるほぼすべての事業分野で市場のリーダーとなっている。

「限りなく慎重で、損失という失敗を極度に嫌う」と評されるシュワルツマン。発言から思想を読み解こう。

「創業以来、絶えず新しい事業を生み出そうとしている」リーマン・ブラザーズ時代にどんな商品やアイデアも5年以内に追いつかれると学んだシュワルツマンは、70歳を超えたいまも新分野の開拓を続ける。

「判断できないときは意思決定を先延ばしにせよ」新入社員に向けて毎年述べる教訓。「判断する前にもっと情報が必要だと主張するのだ」と続く。

「ここで求められるのは満点の回答だけだ」こちらも新入社員に向けた言葉。真意は「決断を下す前に、どうにかして、少しでもさらなる検討ができるように全体をコントロールせよ」。

見据えるゴールはまだまだ先にある。
─パトリック・コリソン ストライプCEO


Phillip Faraone / by Getty images

2011年に兄弟で創業し、いまや時価総額200億ドルをつける決済サービスのストライプ。だがIPOの気配はない。「いまシリコンバレーで起こっている問題は、自社の成功を過大に評価することです」とパトリックは言う。

「謙遜と思慮深さ」がコリソン兄弟の代名詞だ。だからこそストライプは期待されている。世が変わっても、彼らは時代に適したサービスをつくり出すに違いない。なぜなら彼らが、謙遜と思慮深さを併せ持ちながら世界を変え続ける、これからのリーダーの姿だといえるからだ。

「見据えるゴールはまだまだ先にある。いま社内で満足している人がいたら、大問題ですね」

我々には「新しい国家」が必要だ。
─ピーター・ティール ペイパル パランティア創業者


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1998年に創業したPayPalは、ティールによると「リベタリアンの夢」。政府による経済や為替の支配を弱める「独立した貨幣制度」が設計思想だ。経済や教育、エネルギー危機、資源の争いによる戦争など、世界の多くの問題には、科学技術の躍進が唯一の解だと、この稀代の投資家・連続起業家は考える。

3000万ドルを投じるSpaceXについては、「地球には限りがあるのだから、新たなを探るのは必然。我々には新しい国家が必要だ」。

サンディエゴ沖の海上都市計画も「政府に文句を言うのではなく、自治国家をつくり政府と競争することが起業家の解決策だから」。
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イラストレーション=アレクサンダー・サヴィッチ

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