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2019.02.22 17:00

アンダーアーマーが競合大手に挑む戦い、主戦場はアジア

台北にあるアンダーアーマーの店舗。(TY Lim / Shutterstock.com)

台北にあるアンダーアーマーの店舗。(TY Lim / Shutterstock.com)

米スポーツブランドのアンダーアーマーはここ数年、アスレジャー人気が高まる国内のトレンドに迅速に対応することができず、競合相手である大手のナイキやアディダスに大きく遅れを取ってきた。

そのアンダーアーマーが期待を寄せているのが、スポ―ツ関連ビジネスの成長と中間層の拡大が同社の業績を後押しすることにつながると見込まれるアジア地域だ。

例えば台湾では、台北にある2階建ての旗艦店の1つの入り口に、デジタルフィットネス・アプリ「MapMyRun」のダウンロードを呼び掛けるサインを掲げている。世界的なフィットネス・コミュニティーの構築を目指す計画の一環であり、同時に顧客の行動をより良く把握し、パーソナライズした商品やその販売に役立てることが狙いだ。

アンダーアーマーが製品のパフォーマンスに関する信用性を高めたいと考えていることは、エンドース契約を結んでいる有名選手たちの写真を店内に数多く掲示していることからも分かる。

その顔触れには、NBAのスター、ステフェン・カリーやプロゴルファーのジョーダン・スピース、現在は俳優のドウェイン・ジョンソン、バレエダンサーのミスティ・コープランドなどが含まれる。

念のために言っておけば、アンダーアーマーが今後、ライバルたちに追い付ける可能性はまだある。台湾ではこの旗艦店を含め、約60カ所で販売を行っている。アジア地域では、直営の路面店や取扱店などを合わせ、およそ700カ所で販売している。同社は昨年12月、この数を2023年までに約1900に増やしたい考えを明らかにした。

同社によれば、アジア地域のスポーツウェア市場の規模は、およそ1250億ドル(約13兆8400億円)。一方、同社が引用したある市場調査の結果によれば、北米のスポーツウェア・シューズの市場規模は950億ドル程度だという。

アジア太平洋地域担当のマネージング・ディレクター、ジェイソン・アーチャーは、「まだ(同地域ではビジネスを)ほとんど始めたばかりだ」として、「アジア太平洋地域では1300カ所以上で販売しているが、大半の販売チャネルにおいて、われわれが市場に参入したのは比較的最近だ…この地域での今後のビジネスに胸を躍らせている」と述べている。

同社が2月12日に発表した2018年第4四半期(10~12月)の決算によれば、同社にとって最大の市場である北米での売上高は、前年比6%減の9億6500万ドルだった。一方、その他の市場での売上高は、同24%増の3億9500万ドルとなった。

欧州地域での売上高は、前年比32%増を記録。アジア地域では同35%増で、為替の影響を除けば同39%増となっている。

アンダーアーマーは昨年7月、各地域に新たにマネージング・ディレクターを置いた。同社が国際的なビジネスに野心的であることを示すもう一つの例だ。香港オフィスは拡張し、今後アジア本社として機能させる計画だと発表している。

ナイキとアンダーアーマーの直近の決算発表によれば、海外市場での売上高が全体に占める割合は、アンダーアーマーが約28%、ナイキはおよそ6割となっている。

編集=木内涼子

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