これは、行動栄養学と身体的運動の国際ジャーナル(International Journal of Behavioural Nutrition and Physical Activity)に先ごろ掲載された新たな系統的レビューが導き出した結論だ。
英ブリストル大学栄養生物医学研究センターの博士課程に在籍する筆頭著者のジェシカ・ボーンは、世界中から集めた17件の研究を調査した。その結果、イーバイクを使ったサイクリングは「少なくとも中程度の運動となり、運動レベルは通常の自転車を使ったサイクリングより低いがウオーキングよりも高い」ことを発見した。
電動アシストの技術は、今まで運動をしてこなかった人が自転車に乗る決定的なきっかけとなるかもしれない。同調査は「あまり活動的でない人がイーバイクを使ってサイクリングを行えば、心肺能力が上がるかもしれない」と述べている。
イーバイクに乗るのは運動嫌いの人だという考え方は、サイクリストの間で広く共有されている。しかし、同レビューとその対象となった研究からは、この考えが全くの的外れであることが示された。
歩くより長い時間乗り続ければ…
同論文は、イーバイクに乗る方が通常の自転車に乗るよりも運動レベルは低いが、イーバイクの運動レベルはウオーキングよりも激しいと述べている。一方、イーバイクを使用すると、一定距離を移動するのにかかる時間は歩く場合よりも短くなり、エネルギー消費量の合計は歩く時と比べて低くなる。
つまり、歩く代わりにイーバイクを使って時間を短縮すれば、健康効果は下がるということだ。同研究では、イーバイクでウォーキングと同等のエネルギー消費を達成するには、より長時間乗る必要があると述べている。
多くの人にとって、イーバイクを購入する目的は徒歩の代わりとすることではなく、車の代用とすることだ。イーバイクを使ってサイクリングすれば、大部分の時間を座って過ごす車での移動と比べ、体を能動的に動かすことができると同レビューは述べている。対象となった研究の一つによると、オランダのイーバイク使用者は、従来型自転車の利用者と比べて通勤距離が1.5倍だった。
また、坂道のある経路を通勤する人は、イーバイクを使用することですぐに健康効果が期待できるはずだ。レビューでは「イーバイクを使えば、上り坂でもあまり激しい運動が必要とされない。これは、イーバイクを能動的な代替輸送手段として促進すべき主要な根拠の一つとされている」と結論づけた。