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働き方革命最前線 ─ポストAI時代のワークスタイル

Jacob Lund / Shutterstock.com

つい先日、友人からこんな相談を受けました。

「仕事で、部下に対してものすごくきつい怒り方をしてしまう時がある。普段は許せても、“これだけは許せない”ラインを越えられると抑えられない。でも、あとで自己嫌悪になるんだよね。俺が怒っていたことは正しいのかな? いや正しいはず……って、堂々巡りになる」と。

彼は非常に正義感が強く、まっすぐな信念を持った男です。だからこそ人に信頼され、数々の業績を上げています。しかしこの信念が、アダになってしまうときもあります。ひとたび部下が自分の信念に触れるタブーを冒したとき、猛烈に怒ってしまうのです。つまり、感情に溺れてしまうのです。

ではなぜ、こういうことが起きるのでしょうか?

そもそも人は、目の前にある情報を、すべては受け取っていません。例えば、妊娠中のパートナーがいる男性は、買い物に出かけると自然とベビーカーや育児本などに目がいくようになります。その脇に釣り用品やガーデニング本があっても、視界には入りますが情報として捉えていません。つまり、人は情報を受け取るとき、自分にとって優先的なものばかりを捉えるようになっているのです。

そして多くの場合、目に見える情報を、価値観、主義、今までの経験などで捉え直すことで、意味づけをします。例えばシンプルな洋服が好きな男性なら、キャラクター絵がたくさん描かれたベビー服を見たとき、「うちの子にはもっとシックな服を着せたいな」などと考え、「我が家はキャラ服禁止!」と、静かにプチルールを1人決めたりします。

このように、人は自分のフィルターをかけて世界を見て、さらに意味づけをしているものです。

かと言って、もし実家の両親がキャラ服を送ってきたとしても、それで「ルール違反!」などと怒ったりはしないでしょう。つまり個人の価値観レベルに収まる範囲なら、もし他人の振る舞いを見て、違和感を覚えたとしても、どこかで「これは、あくまで自分の価値観では許せないことだけど、まあ人それぞれだよね」と思えるのです。

しかし、これが価値観より力を持つもの、つまり「主義」や「信念」に引っかかってしまうと、つい怒りを暴走させてしまうのです。

僕には、友人の気持ちがよくわかります。というのも、僕自身、似たような経験があるからです。

文=尾原和啓

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