スイス・バーゼル大学の研究者らによる2018年5月の研究では、イーバイクが通常の自転車を使ったサイクリングと同程度の健康効果を持つことが示された。同調査では、太り過ぎの患者が4週間、電動アシスト自転車に乗り続けた結果、心肺の健康が改善し、その改善度は通常の自転車を使った対照群と比べて大差なかった。
研究の著者の一人は、イーバイクを使えば「太り過ぎの年配者が定期的に体力作りに励むことができる」と述べた。同じく著者のアルノ・シュミットトークセーズ教授(スポーツ医学)は「イーバイクを定期的に使う人は(…)体力だけでなく、血圧や脂肪代謝、精神の健康など他の要素でも恩恵を得られる」と述べている。
これは他の研究とも一致する。コロラド大学ボルダー校の研究者らは、欧州応用生理学ジャーナル(European Journal of Applied Physiology)に2016年に発表した論文で、イーバイクを使えば「効果的な運動」ができ、通常の自転車を使うサイクリストと似た健康効果を得られるとした。
同研究では、座って通勤していた20人の健康レベルを測定後、1カ月間イーバイクで通勤させた結果、参加者の肺活量と血糖値に改善が見られた。
また、行動栄養学と身体的運動の国際ジャーナルに掲載されたノルウェーの研究者らによる2017年の調査では、イーバイク使用者が身体機能を活発に使用している時間は、サイクリング時間の95%に上ることが示された。同研究によると、イーバイク使用者の活動レベルは静止している状態と比べ8.5倍だったが、通常自転車使用者の活動レベルは静止状態と比べ10.9倍だった。この差は、研究者らが以前想定していたよりも小さい数字だ。
イーバイク購入促進のロビー活動も
欧州におけるイーバイクの売り上げは、過去5年間で急増している。自転車販売企業にとっての魅力はもちろん、イーバイクの価格の高さにある。自転車ブランド、スペシャライズド(Specialized)のイーバイクモデル「Vado」は、5050ドル(約56万円)で販売されているし、電動アシストマウンテンバイクになるとその倍以上になることもある。
従来型の自転車市場が衰退する中、新たに稼げるビジネスを業界が推進するのも当然のことだ。世界中の業界団体はイーバイク購入促進のため、電気自動車の購入者に気軽に与えられる奨励金と同じような政府の補助金を求め、ロビー活動を行っている。
従来型自転車しか使わないサイクリストの一部は、イーバイクに断固として反対だ。世界中で自転車に優しい街作りを推進するコンサルティング企業、コペンハーゲナイズ・デザイン(Copenhagenize Design)の創業者で著名なサイクリング支持者のマイケル・コルビルアンダーセンは先日「イーバイクは(…)、人類史上おそらく最も怠惰な人たちのためのものだ」とツイートしている。