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ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信

Ti_ser / shutterstock

クレジットカードのポイント還元率は、各カード会社の競争が激しくなる一方だが、そろそろ還元負担が限界に近づき、2019年はポイント還元が収縮する方向に転じたとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じていた。

クレジットカードのポイント還元は、そのポイント付与の算式がどんどん複雑になっていて、「通常は1%だが、モノによってはその2倍も3倍もつけます!」という仕組などは、すでに珍しくない。

年会費があるかないかの判断基準も大きかったが、今は、(一定以上の消費をするならば)プレミアムカードでより多くの年会費を払うほうが、結局、お得というシナリオも、消費者はちゃんと承知している。

カードのばらまきは景気低迷期に

なんとなくお得な感じで消費者をカードに引き寄せていた時代から、消費者側が厳密な計算をするようになり、取捨選択を繰り返すほどに、その還元負担がカード会社に大きなコストとなってくるという図式が、この数年、加速的に進んでいた。

とくに昨年はその競争が激化した年で、バンク・オブ・アメリカなどの米メガバンクは、平均でも前年比15%増のポイント還元負担を抱えた時期があり、金額にして、それは1行あたり年間で約2兆円を超えるほどになったので、スローダウンせざるを得なくなったとも、WSJは報じている。

筆者は、日本で都市銀行の行員であったときにバブル経済の崩壊を経験し、さらにアメリカに来てからはリーマンショックに遭遇し、過剰に膨らんだ経済が破綻する瞬間を痛みとともに見てきたが、金融商品の中でもクレジットカード商売の還元負担は景気に関係なく自己増殖する不思議な存在だと思っていた。

金融機関は経済が破綻すると、不良債権処理や融資の減少で、当然に収益が減ってくるわけだが、そのぶん、やっきになってクレジットカードをばらまこうとする。もともと、無担保融資であり、かつ信用審査がほぼないに等しいようなカード発行の実態だから、このような割り切った融資は景気低迷期こそやりやすい。

しかも、ローンと違って、実態消費に基づいているから、投機や投資マネーが入りにくく、使途が明確で、確認する手間も省ける。そういうこともあって、アメリカでは消費経済の根幹を支える存在となり、日本でも海外旅行の普及やeコマースとともに発展した。

文=長野慶太

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