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国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」

トヨタ RAV4

1994年に登場したトヨタRAV4は、小型SUVのセグメントを開拓してきたと言っても過言ではないだろう。その記念すべき初代バージョンは、若者や女性をターゲットにした丸っこい外観を持ったエントリーレベルのSUVだった。当時のメディアでは「小型SUV界のテディベア」と評判されていた。

時が流れ、昨年末にロサンゼルスで試乗した5代目RAV4は、かなりアグレッシブなスタイリングに変わっていた。ハイブリッド仕様の燃費効率は23%も向上、ハンドリングはクラストップが狙えるほどだ。

ブルドッグっぽいノーズのスタイリングは、今までの滑らかで丸みのある表面とはがらっと変わって、シャープなエッジが目立つ幾何学的な外観と言えるだろう。アメリカに長く住んでいる日本人デザイナーに聞いてみたら、あっと驚く答えが返ってきた。

「RAV4に乗るユーザーの半数以上は女性、というかお母さんたちですよね。彼女たちが乗るコンパクトSUVの多くは、特に目立たない柔らかいスタイリングなので、『周りのドライバーたちにずっとバカにされている』という声を聞きました。その彼女たちの嘆きがトヨタのデザイナーに届いて、今回のより大きなグリルや上がり目のヘッドライト、もっとシャープでエッジーなボディライン、そして白黒の2トーンのカラリングになりました」

つまり新RAV4の外観は、「『私たちはもうバカにされたくない!』という願望を叶えていると思います」ということだ。

僕は、このクルマを初めて見た時、「うお〜、こんなアグレッシブで角ばったスタイリングは男性ユーザーを意識しているな」と考えたけど、実はそうじゃなく、「より存在を認められ、道路上でよりリスペクトされたい」という女性からのフィードバックによることがわかった。

なるほど、SUV王国アメリカの女性ドライバーは、「バカにしないでよ〜」(1978年の山口百恵のヒット曲「プレイバック・パートII」)という気持ちだったんだ。



この写真にある白と黒のツートーンのカラリングも「私の存在を認めて欲しい」アメリカ向けだ。モノクロは確かによりアグレッシブに見えて、まるで「そんなに近寄らないで、そんなに割り込まないで」と言っているかのようだ。このちょっと奇妙なカラーのコンビネーションが日本で用意されないのは、日本人は乗りたがらないと思われるから。もちろん、濃い赤などのカラーも用意されているけどね。

さて、そういう「主張するデザイン」のRAV4だが、質感、走り、性能はどう変わったのだろう。一言で言えば、このクラスを再定義しようとしているほど、よくなっている。

文=ピーター ライオン

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