その一方で、お祭りによって、人の交流や経済活動が生まれ、運営も持続的なものになっているものもある。
例えば、熊本市で開催されている「みずあかり」というお祭りには20万人が集まり、全国からもたくさんの観光客が訪れる。しかも、お祭りで使われている竹あかりは、日本全国、あるいは海外でも、空間演出として使われるようになった。そして、それが告知にもなり、お祭りの観客が増えるという好循環が生まれている。
筆者がみずあかりを知ったのも、そのお祭りのキーマンのひとり、池田親生さんがつくった空間演出で竹あかりに出会ったからだ。
池田さん率いる竹あかり総合演出のちかけんが手がけた関西国際空港の空間演出
立ち上げにも関わり、現在も竹あかりを日本全国や海外に発信している「ちかけん」の池田さんはこう語る。
「大学4年生のときに、みずあかりの立ち上げに関わるようになりました。そのとき、お手伝いというレベルではなく、大きな役割を任せてもらったんです。大勢の人とたくさんのお金が動く大きなプロジェクトですから、いま思うと大学生によく重要な役割を任せてくれたなって思います」
実は、この池田さんの言葉の中には、お祭りの運営を消耗させないための重要なポイントが含まれている。お祭りを持続して運営していくために重要なのは、参加してくれるボランティアのメンバーから、労働力の搾取をしてはならいということだ。
たくさんのお祭りを見てきたが、学生などのボランティアを単に使える労働力と考えている人は多い。「いい経験になるから」と誘い、やってもらっているのは交通整理や事務作業といった、本来であれば給料がもらえる仕事だったりする。しかし、これでは、いけないのだ。