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ロベルト・ロボッティ・ボドニ|モレスキンCMO

モレスキンの似合う人がいる。この人に聞けば解決のヒントを得られるのではないか? そんな頼れる先輩。流行を先取りするバッグとカラーを合わせた部内で人気の彼女。以前出会った働くママは、大量の子供の写真を挟んで限定キャラクター版を持っていた。そして、似合うかどうかはさておき、筆者が持つのは真っ赤なモレスキンだ。

この手帳は、なぜか使う人と同化しているように見える。手帳の中の世界観が想像できる不思議な存在。パブロ・ピカソ、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ、アーネスト・ヘミングウェイ、ブルース・チャトウィン。彼らが愛したフランスの小さな製本業者が作るノートは1980年代、いったん姿を消した。しかし1997年、偉大な芸術家や文豪に愛されたノートをイタリアの出版社が蘇らせた。モレスキンというブランド名は、ブルース・チャトウィンがこのノートを「モレスキン」と呼んでいたことに由来する。

今なお、世界中の人に支持を受け、日本でもこだわりのあるビジネスパーソンが多用するモレスキン。その人気に対し「非常に光栄です」と話すのは、ロレアル、ユベントス、Flyイタリアなどでマーケティングに携わってきた同社CMO、ロベルト・ロベッティ・ボドニ(以下ロベルト)だ。

「日本や世界で支持を受けている理由として、人々がモレスキンに新しい意味を見出しているということがマーケットリサーチでわかっています。モレスキンのブランドプロミスは『人々の自己表現、クリエイティビティや生産性を助ける』こと。ひらめきや刺激を受ける「旅」をサポートすることがモレスキンとそのアイテムの役割だと考えています」

彼が語る「旅」の定義は広い。観光としての旅だけでなく、日常的な移動、長距離の移動、そして心、思考の旅。日常から非日常、物理的な移動から心の旅まで、あらゆる旅に価値を与えること、それがモレスキンの信条だという。ノートや手帳といったペーパーアイテムだけではなく、ペンやポーチ、トラベルグッズ、デバイスケース、ラゲッジなど、さまざまなアイテムを揃えているのはそのためだ。

限定版は文化的背景の具現化でもある

モレスキンといえば、クラシックラインのノートのほかに、限定シリーズの展開も多い。シンプルにカラーバリエーションで魅せるものもあれば、アニキャラクターや童話、アーチストや映画など、そのジャンルは幅広い。2019年春には、モレスキンの愛用者が多い30〜40代にむけ、ガンダムや鉄腕アトム、ドラえもんやポケットモンスターのコラボレーションが登場する。



ちなみにクラシックなものが好まれるヨーロッパでは、こうした限定品の展開は行っていないという。「限定品が好まれるのは、主に日本をはじめとしたアジア地域ですね。我々は日本を最重要マーケットと認識していますので、定番商品の他に、こうした限定商品を用意しているのです」

しかしながら、限定品は数週間から長くても数ヶ月しか販売されないもの。限定商品を作ることはリスクではないのだろうか。そう問いかけると、ロベルトは微笑みながら首を振る。

「いいえ、リスクではありません。限定品があることで話題になりますし、それまでのファンの方々にも喜んでいただけます。2018年の春に日本で桜をモチーフとしたノートを発売しましたが、海外の方や、海外に住んでいる日本の方からも需要があり、スターウォーズやハリーポッターといったグローバルな限定商品は、新たな消費者を獲得するチャンスでもあります。だからこそ心がけているのは、ターゲットに対してきちんと製品を届けることと、文化的な背景をしっかり把握すること。例えば、今申し上げたハリー・ポッターシリーズとのコラボレーションは、映画よりもまずは原作本に注意を払い、製品化を行いました」

プロダクトが生み出される過程で、その背景にある文化を尊重するその姿勢は、偉大な芸術家たちに愛されたモレスキンらしさと言えるだろう。

文=吉田 渓 写真=西川節子

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