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ゼネラル・モーターズCEO メアリー・バーラ(Photo by Bill Pugliano/Getty Images)

米ゼネラル・モーターズ(GM)は11月26日、ミシガン州デトロイトとオハイオ州ローズタウンを含む国内5カ所の工場を来年中に閉鎖すると発表した。

閉鎖の理由は、これらの工場が主にセダンを生産していることだ。米国ではSUV人気の上昇が続いており、セダンの販売台数は減少している。もう一つの理由は、ドナルド・トランプ大統領が課した制裁関税による逆風だ。自動車メーカーはコストの上昇に直面している。

GMはメリーランド州にある部品工場とデトロイト郊外にあるトランスミッションの生産工場、カナダ・オンタリオ州オシャワと韓国にある工場を閉鎖する計画も明らかにしている。また、従業員15%の人員削減を行う予定だ。リストラにより、ホワイトカラーの幹部職は25%減少するという。これらを合わせ、年間60億ドル(約6800億円)のコスト削減を目指す。

業界が直面する現実

米経済が好調な中でGMが打ち出した大規模なリストラ計画は、以下のような経済と交通の未来の現実を反映している。

・GMとフォードにとって最大の市場である米国では、向こう5年間の年間販売台数が1500万~1550万台程度に減少すると予測する向きが多い。過熱する中古車市場の供給過剰と、20~32歳の若い消費者が新車を購入しないことが主な理由だ(フォードも近く、大規模な人員削減計画を発表すると見込まれている)。

・GMとその他の自動車メーカーの大半は同様に、今後の交通の在り方(ウーバーやリフトのような配車サービスの利用の増加、自動車を所有しない消費者が多い都市中心部への人の移動の増加、自動運転車に関連のある新ビジネスの急成長など)に合わせた業務・人員数を実現するための準備を進めている。

GMのメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)は、「市場の現実に合わせた生産規模の適正化を図っている」と発言。さらに、「わが社は今後2年間で、電気自動車と自動運転車に充てるリソースを倍増させる計画だ」と述べている。

・消費者はセダンよりクロスオーバーSUVを好むようになっている。GMはそれに合わせて、重点を置く工場を調整する。フォードとFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)も同様に、セダンの生産を打ち切る方針を発表している。

・トランプ政権が鉄鋼に課した関税が一因であるコストの増大により、GMの経費は今年、およそ10億ドル増加する見通しだ。関税が撤廃されない限り、経費は今後も増え続ける。

GMの株価は過去12カ月間に18%下落している。アナリストらはこの間、米国市場での販売台数の減少に対応するため、同社は数十億ドルのコストを削減し、効率を向上させる必要があると指摘していた。リストラ実施の発表を受け、同社の株価は26日、日中の取引で5%以上値上がりした。

政治的影響

GMの決定がオハイオとミシガンの両州に及ぼす影響は、与党・共和党員には打撃となる可能性がある。トランプが2020年の大統領選に向け、自らの政策は両州を含む「ラストベルト(さびついた工業地帯)」の製造業に雇用をもたらすと強調してきたためだ。

ミシガン州では11月初めに行われた中間選挙で民主党の候補が勝利しており、トランプのメッセージがすでに力を失っていることは明らかだ。オハイオ州では共和党の候補が当選したが、同州は歴史的に激戦州だ。

来年1月から米議会下院は野党・民主党が多数派となることが決定したこともあり、トランプの発言を無視し始める企業が徐々に増加している。トランプの任期はあと2年ほどだが、再選の可能性はないと予測する人も増え始めている。

編集=木内涼子

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