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科学技術の未来、文化について執筆

「Rocket Lab」のロケット(photo courtesy of Rocket Lab/Photo credit Kieran Fanning and Simon Moffatt)

宇宙ベンチャー「Capella Space」が開発した小型衛星は、全長約60センチで重量は36キロに満たないが、8平方メートルのアンテナを折りたたんで収納することができる。10年前であれば、同じ性能の衛星はスクールバスほどの大きさがあった。

衛星の小型化により、ロケットの小型化競争も熾烈になっている。リチャード・ブランソンや故ポール・アレンなどが出資するスタートアップは、大手企業に比べて重量、サイズともに4分の1程度の小型ロケットを開発し、宇宙ビジネスで新たな領域を開拓した。

そうした企業の1つである「Rocket Lab」は、先日3基目となる小型ロケットを打ち上げ、衛星を打ち上げるタイミングや場所を自由に決めたい企業のニーズに応えている。

「小型ロケット市場は、競争が非常に激しくなっている」と調査会社Forecast International のアナリスト、Bill Ostroveは話す。現在世界には小型ロケットを開発する企業が約100社存在するという。

競争激化の背景にはコンピュータの小型化がある。かつて、小さな部屋ほどもあったコンピュータはiPhoneほどの大きさになり、衛星もワインボトル程度に小型化された。それに伴い、開発費も10億ドルから数千ドルにまで減少した。

2012年から2017年の間に重量が600キロ以下の小型衛星は約1000基打ち上げられ、2017年だけで2012年の6倍の335基が打ち上げられた。

小型衛星市場は、今後ますます拡大することが予想される。ベンチャーキャピタルのSpace Angelsによると、衛星スタートアップによる調達額は、2018年第3四半期だけで3億7000万ドル(約420億円)を超えたという。衛星が取得するデータに対する需要は増え続けている。

また、「OneWeb」や「スペースX」などの企業は、高速インターネットサービスを提供するため、今後数年で多くの小型衛星を地球低軌道に打ち上げる予定だ。

小型ロケットは「衛星分野のタクシー」になる

地球の表面画像を撮影する「Planet」の衛星や、船舶の動きをトラッキングする「Spire Global」の衛星など、小型衛星は他の観測機器と“ライドシェア”してスペースXや「Northrop Grumman」のロケットに積み込まれることが多い。

しかし、小型ロケットの普及によって、企業は衛星を打ち上げる場所やタイミングを自由にコントロールすることができるようになった。コストは高くなるが、企業は自分の都合に合わせ、希望する軌道に打ち上げることが可能だ。

衛星の打ち上げを手配する「Spaceflight」のCurt Blake社長は、従来と小型ロケットによる打ち上げ方法の違いを、バスとタクシーの違いに例える。「キログラム当たりのコストは高くなるが、自分のスケジュールに合わせることができる」とBlakeは話す。

衛星を特定の軌道に打ち上げる上でも、小型ロケットは最適だ。こうした理由から、Capella SpaceのBanazadehにとって小型ロケットの方が魅力的なのだという。「スペースXでは、36基の小型衛星を特定の高度の打ち上げるのは不可能だ。スペースXのメリットは他の企業とライドシェアできることだが、我々の希望する軌道を飛行しない」とBanazadehは話す。

編集=上田裕資

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