正解なき問いに、向き合い続ける
──塩田さんは一橋大学大学院のMBAコースをご卒業されていますが、MBAというとロジカルな思考のイメージがあります。どのようにして「感じること」も学ばれたのでしょうか?
実は一橋のMBAで学んだことも、「目に見えることは模倣できる可能性が高い。目に見えないところに本当の価値がある」という考えが中心でした。MBA界では珍しいのかもしれませんが、「合理的じゃないこともちゃんとやろう」と教えてもらったんです。
具体的にいうと、「日本企業で昔は良しとされていたが、成果主義の考えによって合理的に削られてしまったものの中に、本当に大事なことが隠されているのではないか」といったことを議論することもありました。
実際に、アメリカではフェイスブック社が社員旅行をしていたり、マインドフルネスが流行していたりと、日本でも失われつつある「昔は良しとされた日本的な考え」がリバイスされ、活用されています。学生だったその当時から、世の中でロジカルに当たり前と言われていることを、「当たり前と思わない癖」はついていました。
──それらすべての経験が、御社のビジョンである「ハートドリブンな世界へ」に繋がっているのですね。
そうですね。起業したときから、「なぜこの会社があるのか」ということについて、共同創業の香田(取締役COO)とは常に話してきましたし、「エンターテインメントってなんだろう」という正解のない問いについても考え続けてきました。
そういった正解がない問いを考え、議論し続けることで、人は一番成長すると思っています。そして、創業時からアカツキという会社は、その答えなき問いを考え続けることを、何よりも大事にしようと決めています。
連載 : 起業家たちの「頭の中」
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