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2018.11.18

ロシア伝説のミュージシャンが語る「極東ロシアから見た日本」

バンド結成35周年を迎えたムーミー・トローリのメンバー (c)Sergey Sergeev


──極東ロシアの人々から、日本人や日本の文化はどう見えますか。

ロシアと日本は近くて「遠いお隣さん」。ウラジオストクに住むロシア人で日本に行ったことがある一般市民の数は、ロシアの他の地域に比べてずっと多い。でも、まだお互いのことをよく知っているとはいえない。

両国の交流が少なすぎると感じています。政治的、経済的理由があるとしても、僕たちは事実上「お隣さん」であり、これからどんどん関係が深くなっていくべきだと思う。僕たちロシア人は、日本から学べるたくさんのことがあり、日本のみなさんも極東ロシアを見て、感じて、理解してもらいたいですね。

私たちをつないでいる日本海、この海を挟んで向き合うふたつの国がどうやって共に手をとって生きていくべきか、それをお互いに考えていきたいです。

ロシア人は日本人をリスペクトしています。日本人の勤勉さや謙虚さには頭が上がらない。僕たちはもっと交流すべきなのです。

──2017年8月から、ロシア沿海地方は、日本人に対して電子簡易ビザの発給を始めました。ウラジオストクを訪れる日本人も増えていると聞きます。ラグテンコさんのおすすめのスポットや思い出の場所を教えてください。

日本のみなさんには、ぜひ極東ロシアの大自然を見てほしいです。その地に生きるロシア人の魂はどれほど開放的か。忘れられない経験と思い出を残してくれるでしょう。

アルセーニエフ博物館もおすすめです。ここでは、20世紀初めのウラジオストクの歴史について知ることができます。それは日本人にとっても驚きだと思います。なぜなら、当時この町には多くの日本人が暮らしていたからです。またウラジオストクと横浜との貿易の歴史も興味深いです。


ミュージックバー「ムーミー・トローリ」は夏は海水浴場になるスポーツ湾の近くにある(撮影:佐藤憲一)。

夜はぜひミュージックバー「ムーミー・トローリ」に足を運んでみてください。心地よい音楽を聴き、踊れて、おいしい食事を提供することを約束します。

──「ムーミー・トローリー」はどんな店ですか。

2011年に僕たちのメンバーが開店したミュージックバーで、いまでは町のシンボルとして観光名所にもなっています。V-ROXの会場のひとつにもなっていて、ロシア極東の創作料理やオリジナルカクテルが味わえます。週末は夜遅くまでライブでにぎわいます。


店内にはライブスペースやダンスフロアがある(撮影:佐藤憲一)。

──V-ROXでは、これからどんなことが始まるのでしょうか。

僕たちは日本の音楽フェスと提携する話を進めています。またモスクワで開催するアイディアがあり、日本のレコード会社とも話をしています。音楽以外にも画家や映像作家、さまざまなクリエイティブな人たちとオーディエンスをつなげるイベントにすることを目標にしています。

──最後に日本のファンにひとこと。来年2019年日本で会えますか。

心からそれを願っています。みんなで協力して、実現させたいですね。

連載 : ボーダーツーリストが見た北東アジアのリアル
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文=中村正人 翻訳=A.アレックス(音楽ユニット「変異種」リーダー)

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