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ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信

Peter Titmuss / Shutterstock.com

アメリカの大陸横断鉄道は、椅子やテーブルもゆったりと大きく、個室も2人用、4人用と充実していて寝心地もいい。展望車であるサロンカーは、文字通り360度見渡せ、天井もガラス張りで臨場感たっぷり。距離も、たとえばシカゴからサンフランシスコまで2泊3日というスケールで、「乗り鉄」にはたまらないワクワク感がある。

しかし、ロシアのシベリア鉄道を除けば、世界最長級の路線であるのに、あまり日本で話題になることはない。なぜなのだろうか? それは、列車に乗ってみると、すぐにわかる。

日本の乗り鉄を興奮させるのは、車両のデザインや景色、はたまた駅弁やら、時刻表を眺めているときに覚える乗り継ぎの妙味などさまざまだが、もし、いちばん大事な要素を挙げるとすれば、それは、鉄道マンや鉄道ウーマンの強烈なプロ意識に対してだと思う。

安全と快適、正確性に対する日本人の期待は異常に高く、その期待に応えて、当然というレベルで日夜戦っている人たちへの感謝と敬愛が、乗り鉄の人たちにはある。厳しいことを言うようだが、アメリカの旅客鉄道(アムトラック)には、実は、それらが全然感じられないのである。


安全、快適、時刻表の通りに運行する日本の新幹線(Photo by Tomohiro Ohsumi/Getty Images)

航空運賃の2倍以上もする列車運賃


データを挙げると、大量の顧客を運んでいるだけに値段が安いかと思えば、旅客鉄道は国内航空と比べて乗客1人当たりの運賃が2倍以上もする。では安全かというと、毎年のように脱線事故を起こし、安全委員会の統計では、1億(人×マイル)あたり、0.03人が事故死している。これは飛行機の3倍以上の事故死率だ。

極めつけは、延着が多いことで、アメリカの運輸省によると、2016年の数字で、アムトラック全体の平均定時運行率は79%になっている。これだけでもひどい数字だが、これが600キロ以上の長距離線になると63%にまで落ちる。しかも延着が30分以内ならば定刻とみなすという計算方式でこれだ。

鉄道ファンに限らず、鉄道王国の日本人としては、とても鉄道とは呼べない(ちなみに、東海道新幹線の平均遅延時間は24秒。つまり、アメリカ方式の統計なら圧倒的な100%の定時運行率だ)。

文=長野慶太

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