自分の人生にとって、何のためにお金が必要なのか。根本的なテーマについて子どもに考えてもらう方法について考えていた時、「本当によい教材」に気付かされる出来事が起きたので共有したい。
親が子供に与える影響は大きい
親が子供に与える影響は、大人が想像する以上のものである。このことはまず、親がしっかりと認識しておかなければいけない。
たとえば、筆者は子どもの頃、虫がとても好きだった。近所の原っぱで虫を捕まえては、家に帰って図鑑を熟読しながら研究をしていた。そのおかげか、幼稚園や小学校では「虫博士」と呼ばれていた。
ある日、家で1人で遊んでいると、母親の叫び声が聞こえた。母親の元へ駆け寄ると、どうやらベランダから取り込んだ布団に蛾がついていたようで、部屋の中を飛び回っていた。それまでは蝶々も蛾もキレイだなと思っていたが、母親の叫び声が衝撃的過ぎて、それ以来、私は蝶や蛾が苦手になってしまった。
これは1つの例に過ぎないが、親のふとした日常の行動が、子どもには将来にわたって影響を与えてしまうということもある。子どもの前だからといって、変に意識をする必要はないが、その言動が子に与える影響については認識は持っておいた方がいい。
「お金のこと」も子どもはよく見ている
日本においては、家庭でお金の話をすることはタブー視されている節がある。タブーとまではいかなくとも、どうも話しにくいという感覚はほとんどの家庭であることだろう。実際、いくつかアンケートを取ってみたところ、性の話題と同等のレベルでお金の話は話しにくいという結果になった。
しかし、親がお金について何も話をしなくても、子どもはお金のこともしっかりと理解しているのだ。シングルマザーの取材をしていた時のことだ。子どもも連れていきたいということだったので、その場に子どもも同席していた。
長い時間付き合わせてしまったため、取材帰りにお菓子売り場に寄り、「好きなものを買っていいよ」と言ったが、その子は100円もしない小さいお菓子を選んだ。不思議に思って、もう一度、好きなものを選んでいいと言っても、それでいいと言う。
その理由を聞くと、普段から高いお菓子は買わないようにしているというのだ。家ではお金の話はしないけれど、学校で友達と話をしたり、友達の家に遊びに行ったりすると、自分の家の経済水準がどれぐらいなのかはだいたい想像がつくという。
何もしなくても、子どもはしっかりと「お金」のことを見ている。そうであればなおさら、親は子供たちに、適切にお金のことを教えていくべきなのではないだろうか。