米プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が世界の上場企業を対象に実施、先ごろ発表した「R&D支出が多い上位1000社」の調査結果によれば、米国企業では同じ期間に、アルファベットが162億ドル、マイクロソフトが123億ドル、アップルが116億ドルをR&D費に充当した。
米国企業は今後も、将来に向けて多額の投資を行っていくだろう。一方、同様にR&D支出の増加が見込まれているのが中国だ。同国の変化は急速に進んでいる。10年前には、上位1000社に入る中国企業はわずか14社だった。その大半は石油会社で、R&D支出は総額およそ27億ドルだった。
今回の調査結果では、中国のアリババ1社のR&D費だけでも、前年比およそ44%増の36億ドルに上った。リストに入った中国企業全体をみても、調査結果には目を見張るものがある。
中国企業のR&D支出は全体で、前年比34%の増加となった。米国は同7.8%増。欧州は同14%増となっている(欧州でR&D予算の増加が目立ったのは、自動車メーカーだ)。
米ウォルマートやターゲット、ノードストローム、メイシーズなど、古くからある小売業者も今後、予算に占めるR&D費の割合を大きく増やすとみられている。消費者が店舗の変化や、買い物がより楽しい経験になる新しいショッピングの方法を求めていることを考えれば、革新的なアイデアを試し、導入していくことは不可欠だ。
アマゾンの課題
世界的な影響力を持つアマゾンは、当然ながらR&D支出から得る利益も大きなものとなる。だが、同社の実店舗については、「在庫に問題がある、魅力に欠け、品ぞろえも適切ではない」などとの批判の声が多い。筆者もニューヨークのソーホー地区にオープンした4つ星以上の評価を得た商品のみを扱う実店舗、「アマゾン・フォースター」には本当に失望した。
同店舗はアマゾンでベストセラーとなった商品の多くを取りそろえており、プライム会員はそれらを割引価格で購入することができる。もちろん、会員のための実店舗を作ったことは道理にかなっている。だが、店内での商品の見せ方や販促の方法などには問題があり、分かりにくい。これは、テクノロジー企業も販売業者であることを学ばなければならないということを明確に示している。
ただ、アマゾンに限らずその他の小売業者のR&D投資戦略もまた、完璧なものとは言えない。例えば、インドのインターネット通販最大手、フリップカートを160億ドルで買収したウォルマートは、期待できる利益の割に高額すぎる投資をしたのではないかと指摘されている。