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ノルウェーの首都 オスロ(Kiev.Victor / Shutterstock.com)

人口約500万人の北欧の国、ノルウェーは1960年代に開発が始まった北海油田の恩恵を受け、世界で最も裕福な国の一つとして知られている。しかし、石油産業の衰退とともに、新たな起業ムーブメントも起こっている。

首都のオスロは欧州のスタートアップのハブとしての存在感を高め、新興企業に対する投資熱も高まっている。ノルウェー政府は「Innovation Norway」などのイニシアチブを推進し、政府の支援を受けた環境関連の投資企業「Investinor」も設立された。

AIを投入したスマートビデオカメラなどの製品で知られる「Huddly」のCEOを務めるJonas Rindは、ノルウェーはアーリーステージの企業には最適な環境だと述べる。

「オスロには先端的なテクノロジーを活用し、リアルな世界の問題を解決しようとする企業が集結している」と彼は述べる。

ノルウェーでは様々なインキュベーターやアクセラレータプログラムが始動しており、「Angel Challenge」や「TheFactory」「Katapult Accelerator」「StartupLab」「Siva」「Kjeller Innovasjon」「Venture Factory」といった名前があげられる。なかでも、主導的役割を果たすのが「Startup Norway」で、熱心な起業家らが急激なエコシステムの発展を促進している。

また、エドテック(教育関連テクノロジー)分野で世界的知名度を獲得しているのが、ゲームをベースとした教育アプリを展開する「Kahoot」だ。2011年にJohan Brandらによって創業された同社は、累計で4350万ドル(約49億円)を調達している。

一方で、長期にわたる病気の療養のため、学校に通えない子供に代わって授業に出席する、ユニークなロボットを開発する企業が「No Isolation」だ。2015年にMatias Doyleらが設立した同社は、カメラやマイク、スピーカーを備えたロボット「AV1」を開発。累計で530万ドルを調達しており、昨年はノルウェーのスタートアップ・オブ・ザ・イヤーに選ばれ、Best Social Impact Startup にも選出された。

さらに、モバイルアプリ業界で注目なのが、ネイティブアプリケーション開発フレームワーク「FUSE」を提供する「Fusetools」だ。2011年に創業の同社は2017年のシリーズAで1200万ドルを調達し、累計で1870万ドルを調達している。

ノルウェーのスタートアップにとって成長のカギとなるのは、資金調達を行い、海外に市場を拡大することだ。プリントソリューション企業「Gelato」の創業者、Henrik Müller-Hansenによると、北米とアジアの間に位置するノルウェーは、グローバルを目指す新興企業にとって理想的なロケーションだという。

500万人という少ない人口と、優秀な人材がまずエネルギー業界に向かうことにより、テクノロジー業界は慢性的な人材不足にあえいでいる。しかし、Müller-Hansenはテック領域の未来に楽観的だ。

「世界のどこにおいても、スタートアップが優秀な人材を獲得するのは容易なことではない。しかし、ノルウェー経済は安定しており優れたアイデアがあれば人は集められる。この国は世界のなかで最も理想的な場所に近い」と彼は話した。

編集=上田裕資

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