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億万長者の厳しい世界について執筆

(photo courtesy of Cargill)

ミネアポリスから30マイルほど離れた郊外には、腰の高さに育ったトウモロコシの畑が何マイルも広がり、数棟の白い外壁の建物以外に視界をさえぎるものはない──。この建物を所有するのは、年間売上高1150億ドル(約12兆9000億円)を誇る穀物会社「カーギル」だ。

カーギルは、フォーブスの「米国最大の非上場企業ランキング(America’s largest private companies)」で、過去30年で28回首位に輝いている。これらの建物の中では、カーギルにとって非常に重要なプロジェクトが進行している。

灰色の半塩水が入ったタンクでは、イズミダイやエビが飼育されている。カーギルは水産物の最適な養殖方法をテストしており、タンクごとに水温を変えて必要な栄養量や食欲などを確認している。

近年、カーギルはサケやイズミダイ、エビなどの養殖業者向けに魚飼料を販売し、業界で大手プレーヤーとなっている。同社は自らも養殖ビジネスを手掛けるべきか検討しており、ミネソタ州エルクリバーの施設でその実験を行っているのだ。

「新たな食品を生み出すための、サステナブルな方法を見つけ出そうとしている」とカーギルで水産物事業の責任者を務めるEinar Wathneは話す。カーギルは、夕食の食卓に並ぶ食品の大半を扱っている。同社は過去153年間に渡って商品取引を中核事業としてきており、小麦やトウモロコシ、大豆、牛肉、豚肉、鶏肉など様々な食料品の加工や輸出を手掛けてきた。

巨大な事業は巨大な利益を生み出し、創業家であるカーギル家とマクミラン家の資産は合計490億ドルとも言われる。25名のファミリーメンバーが、カーギルの株式の約90%を保有しており、このうち14名はビリオネアだ。

17名の取締役のうち6名がファミリーメンバーだが、CEOの座には就いていない。ファミリーとして最後に経営トップを務めたのは、19年間に渡ってCEOを務め、1995年に退任したWhitney MacMillanだ。

ファミリーは、1年間で稼ぎ出した営業キャッシュフローの80%を事業に再投資している。この金額は、直近実績で42億ドルもの規模だ。カーギルは、莫大な資金を様々な新規事業に投資しているが、特に水産養殖には力を注いでおり、2015年以来数十億ドルをつぎ込んでいる。成果は既に出ており、魚飼料だけでも3億ドルの利益を出している。

「水産養殖は非常に重要な事業機会であり、カーギルがこれまで培った専門性や経験によって大きく成長させることができる」とCEOのDavid MacLennanは述べている。

編集=上田裕資

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