こうしたダークなパーソナリティの根源となるのは、「自らの有用性を最大化するために他者を犠牲にする特性と、それを正当化する考え方」だといえる。言い換えれば、邪悪な特性の根底にあるのはほぼ全ての場合において、他者より自分を優先し、そうした行動を幾つもの理由によってそれを正当化する考え方だ」といえる。
論文の著者らはこうした特性を生む要因を「Dファクター」と呼び、これについて次のように説明している。
「公共の場でも社内でも、激しい暴力や規則違反、うそ、策略などの例がみられる…個人のDファクターを認識しておくことは、その人がさらに罪を犯したり、より有害な行動に出たりする可能性を判断する上で有用なツールとなる可能性がある」
「ダーク・トライアド」との違い
過去の研究では、「マキャベリズム、ナルシシズム、サイコパシーの特性は、同時に現れる場合が多い」との結果が示されている。これら3つの邪悪な特性は「ダーク・トライアド」と呼ばれており、これを説明しようとする試みは一般的に、私たちの適応メカニズムとの関連性を指摘している。「即時報酬と満足感を得るための適応戦略」を取る傾向を示すものであり、生殖・生存に関わる利益と関連があるというのだ。
だが、Dファクターはダーク・トライアドよりも複雑であり、包括的なものだ。“ダークコア”な特性の中には、他人に苦しみを与えるためなら自らにとっての不利も受け入れる「悪意」といったものもあることから、生殖・生存に関連した利益を得ること以外の何かと関連していることが考えられる。
その関連性は、今のところ明らかになっていない。これらの特性がどのように関連し合っているのか、幼児期においてどのように発展するのかを理解するためには、さらなる研究が必要だ。