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国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」

毎日昼頃、ポルシェの70年のスポーツカーの歴史を祝うセレブレーションがあった。356、911、962、919などポルシェを代表する車がマーチ卿の邸宅前に集合

伝説のヒーローの隊列を率い、第25回フェスティバル・オブ・スピードの登坂コースを極レア・ポルシェ901で駆け上がる。自動車ジャーナリスト、ピーター・ライオンがスポーツ・ドライビングの高揚の体験を綴る。


アクセルを4000回転までふかし、1964年式ポルシェ901のクラッチを離してグッドウッドの有名な坂道に突入したとき、僕はこのドイツのスポーツカー・ブランドの歴史を全身に感じ、伝説的な英国貴族の領地の魔法のせいで、アドレナリンに満たされた。

それは、たとえば48年に登場し、歴史を変えることになる356スピードスターをはじめとするポルシェが送り出した数々の優れたスポーツカーの歴史だ。今年2018年は、その誕生70周年を祝うための、そしてポルシェ社がスポーツカーのメーカーとして歩んだ70年間を祝う祭典だ。

僕は今回、光栄なことにこのフェスティバル・オブ・スピードで全長2kmほどの坂道を、極レアな54年を経たポルシェ901で駆け上がる役を仰せつかった。 この901は57番目に製造された一台で、14年にベルリン近郊のとある納屋で発見されたという。

ポルシェ社は、3年の月日と3200万円をかけて、栄光の第57番をレストアした。実は64年の秋に901は発売されたのだが、そのネーミングについて商標争いとなり、結局911と名前をかえた伝説の名車だ。

グッドウッドの2つ目の右コーナーを超えると、この領地の所有者で、英国でも名高く人気のあるマーチ卿の館、グッドウッド・ハウスに差しかかる。世田谷区よりやや小さな面積のこの敷地で、マーチ卿が今では自動車文化の伝説的な祝典を始めたのは93年のこと。今年はその25周年を記念する盛大なシルバー・ジュビリー(祝賀)だった。

この館の前庭には、巨大なオブジェが年毎に設営されるのだが、今年は何と高さ52mで6つの腕を持つものだ。ポルシェの70年の歴史と成功を讃え、未来への息吹を謳う。その腕ひとつずつに、356、911、そしてル・マンで優勝した919ハイブリッド・レースカーが配されていた。

ところで、このフェスティバルは世界に数ある自動車イベントの中でも超一流の、壮大な祭典となり、世界中の名車が登場し、著名なレーサーやセレブを引き付けてやまない。マーチ卿はイギリスの貴族階級の中でもとても外交的な人物で、このフェスティバルでも、 開催4日で各日5万人も訪れるファンや来場者と気さくに言葉を交わしていた。


グッドウッドの領主マーチ卿が、特別に作られた911スピードスターコンセプトを視察

この貴重な記念祭の4日間、僕も会場を歩いていろいろな人に出会った。F1ドライバーでは、マーク・ウェバー、ジェンソン・バトンなど。そして、少なくとも20人のル・マン勝者を見かけた。その中には、5回優勝のデレク・ベル、またピンクフロイドのドラマー、ニック・メイソンもいれば、世界ラリー選手権のチャンピオンで日本でもおなじみのウォルター・ローエルの姿もあった。

文=ピーター ライオン

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