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リック・ウェルツ (Alex Trautwig / MLB Photos via Getty Images)

米紙ウォールストリート・ジャーナルは、スポーツ報道で一風変わった戦略をとっている。他の日刊紙と違い、同紙はスコアや順位といった試合の結果を載せないのだ。その代わり、トレンドや諸問題などの高レベルな点に関して考察した特集記事を、毎日1、2本載せている。他の日刊紙スポーツ面がよく掲載する選手のプロフィル記事とは一味違う。

こうした記事の一つとして、同紙のベン・コーエン記者は、米プロバスケットボールNBAのチーム、ゴールデンステート・ウォリアーズのリック・ウェルツ社長が今月にバスケットボール殿堂入りを果たしたときに行ったスピーチを分析した。



コーエンはこのスピーチを「記憶に残る」ものだとし、その理由をいくつか挙げた。それは正直なこと、笑いを誘うこと、よく準備されていたこと(記事によれば、ウェルツは式の何週間も前からスピーチを練習することで緊張を鎮め、前日にはテレプロンプターを使ってもう一度リハーサルをした)、そして簡潔なことだ。スピーチはたったの8分間だった。

スピーチ自体はまさに上の分析通りだが、さらに以下の3つの理由から高く評価されてしかるべきものでもあった。

1. インスピレーションの源

ウェルツは、バスケ界の伝説的存在であるデューク大学バスケ部のコーチ、マイク・シャシェフスキー(通称コーチK)の「自分自身へのメモ」と題したスピーチから着想を得たと話している。シャシェフスキーは「親愛なるマイクへ」という言葉でスピーチを始め、自身の素晴らしいキャリアのなかで多くの幸運に恵まれたことを説明。そして最後に「あなたは、自分では信じられないほど幸運だ」と述べて終わった。

ウェルツのスピーチも「親愛なるリッキーへ」で始まったが、彼はコーチKの手法をもう一つ高い次元へと進化させ、私たちに他の2つの学びを与えてくれた。

2. 視点

ウェルチのスピーチは全て、他者への感謝の気持ちを伝えるものだった。自分が幸運だったことを説明し、家族やメンター、マネジャー、選手、オーナー、さらには「NBAの試合を実現するため舞台裏で働く5万人の人々」に対して感謝の気持ちを述べた。

3. 構造

ウェルツは、とてもシンプルに時系列通り話を進めた。シアトル・スーパーソニックスのボールパーソンとしての初仕事から、ワールドチャンピオンとなったゴールデンステート・ウォリアーズの社長としての絶頂期までだ。

編集=遠藤宗生

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