大学進学より「見習い制度」 米産業界の見方が変わる理由

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多様な機会を提供

見習い制度は、必要なスキルを身に付けるための訓練を行うだけでなく、本当の大人としての経験につながる意義深い関係を提供するものでもある。多くの不安を抱え、何にも無関心な人が多い若者たちも、他の世代にはないエネルギーを向けるべき有意義な対象が与えられれば、代数や英文学をもう1年学ぶよりもより多くのことを身に付けられるだろう。

雇用主は熱意のある従業員候補とのパイプラインを築き、複雑さを増す職務上の課題への対応に必要な実務的なスキルについての訓練を行うことができる。実践的な学習とそれに熱心に取り組むことで、学生たちは高額の初任給を求めることも可能な、あるいは自ら起業することも可能な、必要不可欠な資産になる。

若年労働力が制限され、長い義務教育機関が思春期を長期化し、富をもたらす仕事によって得られる充足感と報酬が若者たちから奪われるようになるまで、米国の見習い制度は経済的流動性の中核をなすものだった。

米労働統計局によれば、製造業では10年後までに熟練を要する仕事に就く人が約1000万人不足すると予測されている。見習い制度はこの大幅な技能不足の問題に対応し、学生ローンの返済で溺れかけている世代に経済的流動性を提供することに役立つだろう。

また、高校のカリキュラムや学生の進路相談プログラム、奨学金などについての見直しを行うことで、学生の見習い制度へのアクセスの改善と、雇用者による同制度への投資の増加を実現することができると考えられる。

見習い制度は、学業ではなく実際の働く経験からしか得ることができない実務的なスキルや批判的思考を通じて、米国の労働人口に革命的な変化を起こすことができる。

編集=木内涼子

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