子どもの虐待 過熱報道のあとに始まる「本当に大切なこと」

東京都保健福祉局で募集されている児童福祉司・心理司の採用案内書

東京都は現在、「平成30年度東京都一般任期付職員の募集について」と題して「児童福祉司」と「児童心理司」を募集している。このことに気づいている人はどのくらいいるのだろうか。

通常は、新年度の4月付の採用が一般的だ。たとえば欠員が出て、それを補うために年度の途中で募集することはあるが、今回のように年度途中(12月付)での新規採用は珍しい。

目黒区の5歳女児虐待死事件を受けて

今回の東京都の児童相談所児童福祉司の募集は、目黒区で起きた5歳の船戸結愛ちゃん虐待死事件の流れを受けたものであることは間違いない。

平成30年3月、結愛ちゃんは虐待の末に亡くなった。本人がひらがなの練習として書いた「もっとあしたはできるようにするから もうおねがい ゆるして ゆるしてください おねがいします」という“反省文”が6月6日に警視庁により公表されると、人々の関心は一気に高まった。

家族が最初に住んでいた香川県、そして転居先の東京都の両児童相談所(児相)が関わっていたにもかかわらず亡くなったこともあり、報道は過熱。連日、テレビには少女の顔写真や反省文が映し出され、「なぜ防げなかったのか」「どうすれば防げたのか」と議論になった。

当然、児相の対応のまずさを責める声も上がる。インターネットでは10万筆を超える署名キャンペーンも展開され、賛否両論、多くの論考がなされたから、記憶にある方もいるのではないだろうか。

あの事件が「なぜ防げなかったのか」については、東京都、香川県、両都県で検証委員会を設置し、互いに状況共有を図りながら検証を行っており、国としても、社会保障審議会のなかの専門委員会で検証の予定でいるので、それらの報告を待ちたいが、「どうすれば防げたのか」に関連して、どの専門家も口をそろえて言う言葉がある。

「児童福祉司をもっと増やさなければいけない」
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文=矢嶋桃子

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