規制の影響で世界最大を誇る中国のゲーム市場は成長が鈍化している。こうした状況を打開するため、中国の大手ゲーム会社は海外向けのゲーム開発や、海外のゲームスタジオへの出資などの取り組みを強化している。
テンセントは先日、「ファイナルファンタジー」や「トゥームレイダー」で知られるスクウェア・エニックスと合弁会社を設立すると発表した。両社は新作ゲームを共同開発し、世界に向けてプロモーションを行なうとしている。テンセントは、これまでに米国の「Riot Games」やフィンランドの「Supercell Oy」を傘下に収めたほか、韓国の「Bluehole」や、米国の「Activision Blizzard」と「Epic Games」に出資している。
テンセントが自社開発したタイトルも海外でファンを増やしている。「Sensor Tower」によると、「プレイヤーアンノウンズ・バトルグラウンズ(PUBG)」のモバイル版は、7月だけで900万回ダウンロードされ、売上高は500万ドルに達したという。
アイテム課金で最も大きな割合を占めたのが米国で26%だった。PUBGは3月に海外でローンチして以来、5000万ドル(約55億円)以上を稼ぎ出している。
一方、NetEaseは日本で大きな成果を上げている。コンサルタント会社「Newzoo」によると、日本はゲーマーの消費金額が北米の1.5倍もあるという。NetEaseはアドベンチャーゲーム「Knives Out」を日本市場向けにローカライズし、日本での売上を伸ばすことに成功した。Knives Out の7月の売上高600万ドルのうち、97%が日本での売上だという。
しかし、中国のゲーム会社による海外展開はまだ初期段階にある。Newzooよると、テンセントは昨年モバイルゲームで25億ドルを稼いだが、海外比率は10%にも満たないという。NetEaseの場合は、売上高の約20%を海外で稼いでいる。
海外での成功は、業績が低迷していた両社にとって明るいニュースだ。テンセントは今年第2四半期に利益が2%減少し、NetEaseは同期に利益が30%も減少した。
今後、中国当局による規制はますます厳しくなり、新作タイトル数の減少が予想されている。当局は、愛国心や健全なライフスタイルなどの共産党の価値観と相容れないゲームコンテンツを排除するため、承認プロセスを強化していると言われる。