テスラは、世界最大のEV(電気自動車)市場である中国でのシェア拡大を計画しており、最近では上海にギガファクトリーを建設すると発表した。建設費用は20億ドルと言われ、中国の銀行からの融資で賄うという。完成予定は2021年で、当初は「モデル3」25万台とバッテリーパックを生産し、将来的には生産キャパシティを倍増する計画だ。
昨年、世界で販売された約100万台のEVのうち、半分以上が中国で売れた。中国政府は公害対策や原油の輸入量削減を目的にEVを推進しており、2025年までに無公害車を700万台普及させる目標を掲げている。
中国政府が自動車業界の外資出資比率規制を緩和したことも、テスラの追い風となっている。ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)のAlex Xieによると、上海のギガファクトリーはテスラの100%出資のため、同社は製造プロセス管理の徹底や技術の流出防止を図ることができ、現地企業に収益を分配する必要がないという。
中国政府は最近、輸入米国車の関税を40%に引き上げたが、テスラが中国で生産すれば関税の対象外となる。また、価格を低く抑えることができれば、増加する中間層を囲い込むことが期待できる。
現地の自動車関連企業「LMC Automotive」のJohn Zengによると、昨年中国では約1万台のテスラ車が売れたという。「テスラには中国が必要だ。中国で存在感を増すことができなければ、グローバルのEV市場における地位は脅かされる」とZengは話す。
テスラは、外国メーカーとして初めて中国国内でサプライヤーネットワークを構築し、現地企業からのサポートを受けずに規制に対応しようとしている。しかし、同社が中国での売上を拡大できるかは不透明だ。
「中国企業と組まないと、マーケティングや人材探しなどの面で不利だ。中国での競争環境は非常に厳しい」とZengは指摘する。