閉じる

PICK UP

I write about the future of mobility and evolution of transportation.

humphery / Shutterstock.com

新型セダン「モデル3」の生産目標をようやく達成し、タイで洞窟に閉じ込められていた少年たちの救出にも一役買おうと名乗り出た米電気自動車(EV)メーカー、テスラのイーロン・マスクCEOが7月10日、中国・上海に姿を現した。以前から目標に掲げてきた同国での大規模工場の建設を発表するためだ。

だが、同社がこの工場の建設費用をどのように賄うかについて、その場で言及されることはなかった。米金融サービス会社ロバート・W・ベアード&カンパニーのアナリスト、ベン・カロによれば、建設にはおよそ50億ドル(約5554億円)がかかるとみられている。

テスラが公表した上海市政府の発表文によると、同市の臨港工業地帯に建設される新工場「ギガファクトリー3」は、年間50万台のEV生産を目指す。また、テスラがEV生産に必要とするバッテリーとモーターも全て、同工場で生産するという。工場はテスラが単独で所有・運営。研究開発や中国国内での販売も、同社が自ら手掛ける。バークレイズ証券のアナリストは、同工場の稼動は2020年代前半になるとの見通しを示している。

テスラが中国市場での成長を実現するためには、同国内に生産拠点を構えることが不可欠だ。輸入関税がかかれば、モデル3をはじめとするテスラ車は同国の多くの消費者にとって、手が届かない車になる。

テンセントが出資?

フォーブスの寄稿者であり、長年にわたって中国の自動車市場の動向を追ってきたコンサルタント会社ZoZo Goのマイケル・ダンCEOによれば、新工場の建設には上海市政府、または昨年テスラ株の5%を取得した中国のインターネット検索大手テンセントが出資する可能性があるという。

また、前出のカロはブルームバーグに対し、テスラが工場建設のために追加資金を調達する必要があることは間違いないと述べている。ダンと同様、新たなパートナーが費用の一部を負担することもあり得るとの見方だ。

米ネバダ州にあるテスラのリチウムイオン電池工場「ギガファクトリー」にパナソニックが出資したことを例に挙げ、「パナソニックが中国でのパートナーになるとは言わない。だが、誰かが出資することになるだろう」と語った。

黒字体質への転換は可能か

テスラは今月初め、価格3万5000ドルの「モデル3」の生産台数がようやく目標としていた週5000台を実現したことを明らかにした。同モデルはこれまでに何度も、目標達成の時期が延期されてきた。

マスクはさらなる増産を目指すとしているが、同社はこの生産台数を維持することができれば、継続的な事業拡大に必要な資金を賄うことは可能だと見込んでいる。さらに、同社としては初めて、何らかの形での収益性の確保が実現できると期待している。

一方、マスクは今年第3四半期以降の黒字化を明言しているが、それは難しい注文だ。2010年の上場以来、同社の利益が黒字となったのはこれまでに第2四半期しかない(それも、連続した四半期ではない)。

ただ、テスラが実際に黒字転換を実現できれば、新工場建設のための資金調達は容易になるだろう。カロは、「テスラに成長機会があれば、株式市場での資金調達は可能だ」と指摘する。

「テスラがモデル3の生産に投じてきた資金が、今年下半期の利益につながることが重要だ。そうなれば投資家たちは、同社のその他の成長機会への投資にも意欲を見せるようになるだろう」

編集=木内涼子

記事が気に入ったら
いいね!しよう

LIKE @Forbesjapan

Forbesjapanを
フォローしよう

FOLLOW @Forbesjapan

あなたにおすすめ

合わせて読みたい