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フォーブス ジャパン編集部 編集者

(左から)ソノヤ・ミズノ、ジェンマ・チャン、ミシェル・ヨー、オークワフィナ、コンスタンス・ウー(Gettyimages)

8月15日に全米で公開した映画、「Crazy Rich Asians」(邦題:クレイジーリッチ!)が話題を呼んでいる。公開初週は動員数1位で興行成績は3400万ドル(約36億円)を突破、通常2週目の動員数は大幅に下がるのにもかかわらず、本作品はわずか4%の落ち込みだ。

ハリウッドでは「ジョイ・ラック・クラブ」以来25年ぶりとなるアジア系による主要キャスト、一部メディアの報道によると、観客の約40%は普段映画館に足を運ぶことが少ないアジア系の幅広い年齢層の人々、親子2世代で訪れる姿も見られるという。

私自身もシカゴの映画館に足を運んで実際に鑑賞したが、アメリカで努力を重ねてきたミドルクラスの東洋人をほろりとさせるような場面があり、数字にも納得できた。とはいえ、映画については、日本公開も控えているのでお楽しみにということで、ここでは11歳で渡米したシンガポール出身のケヴィン・クワンが2013年に執筆し、全米ベストセラーとなった映画の原作小説「クレイジーリッチアジアンズ」に絞って、なぜアメリカでこれだけ人気が出たのか言及してみたい。

「世界中のどこを探しても、中国人以上に富裕な人々はいない」

14世紀の旅行家でイスラムの学者、イブン・バットゥータの言葉で小説は始まる。

主人公のレイチェル・チューは29歳、スタンフォード大学とノースウェスタン大学を経て、現在ニューヨーク大学の経済学の教授である。カルフォルニア、クパチーノでシングルマザーの中流家庭に育ったABC(American Born Chinese アメリカ生まれの中国人、※実際には生後6カ月の時に母親が中国本土の広東省からレイチェルを連れて渡米)」だ。

ボーイフレンドは同じニューヨーク大の歴史学の教授で同僚のニコラス・ヤング、32歳。シンガポール生まれの彼は、夏休みに親友の結婚式に出席するために一緒にシンガポールに行かないか、とレイチェルを誘う。実はレイチェルには全く知らされていなかったのだが、彼はシンガポール有数の資産家の御曹司であり、彼の周囲の家族や友人たちは、フォーブスのアジアリッチリストに登場するような人々だ(あくまでも小説の設定である)。

そこには15世紀後半から16世紀の植民地時代にマレー地方に渡った中華系移民の末裔で主に海運や貿易で財を成した海峡華人(ストレーツ・チャイニーズ)、清朝崩壊前にシンガポールに渡った貴族階級の華僑、70年〜2000年代初頭の不動産ブームに乗って一財を築いた香港人や中国本土からの移民、さらには近年のテックブームで財を成した人々がいて、彼らの間には目に見えない壁がある。

そしてやや距離を置いてプリンスリング(太子党)と呼ばれる北京の中国共産党の高級幹部の子弟など特権的地位を持つ若者、台湾の新興企業の子弟などが存在する。それら全てをひっくるめてアメリカで教育を受けた「部外者」であるレイチェルは、「クレイジーリッチな人々」のやりとりと偏見、カルチャーギャップに戸惑うことになる。当然、恋愛は本筋でありながら脇役である。

文=岩坪文子

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